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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年11月4日 No.3520 デジタル庁が推進するデータ戦略 -デジタルエコノミー推進委員会企画部会

経団連は10月12日、デジタルエコノミー推進委員会企画部会(浦川伸一部会長)をオンラインで開催し、デジタル庁の平本健二データ戦略統括からデジタル庁が推進するデータ戦略について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 国や企業の競争力を左右するデータ環境

わが国の法人、土地、インフラ、交通に関するデータの一部は利用が制限されており、品質に課題があるデータもある。このため、スタートアップが新規事業を展開しようとしても、データ収集コストがかさみ、スピード感をもった事業展開の足かせとなっている。最新・正確で自由に使えるデータが整備された国や地域にこそ、人材や企業が集まる。国や企業の競争力を向上させるためには、データ環境の整備が必要である。

■ ベース・レジストリとは何か

ベース・レジストリとは、デジタル社会の台帳のことである。行政手続きに必要な事前登録情報や、事業・社会活動に必要な情報等の最新のデータを公的に登録するものである。個人情報や企業の秘密情報の保護を含め、誰もが安心して利用できるよう、整備を進めている。

当面、整備するデータ分野は、(1)法人系(2)土地系(3)行政系――の3分野である。

法人系データは、法人番号、名称、本店所在地、事業所、法人資格等の情報や、投資に活用できる決算情報、資本金に関する情報も整備する予定である。現在は、GビズID(注)の統一化や、法人基本情報のワンスオンリー化、自治体との協働を通じた事業所データの整備を進めている。将来的には、中小企業への給付金手続きが1週間で完結することや、添付文書をなくし、スマホのみで行政手続きを完了できることを目指している。民間データとも連携することで、銀行や取引先との取引コストを軽減し、中小企業のビジネスアクセスも拡大させていく。

社会の基盤となる土地系データについては、アドレス(町字・地番)、郵便番号、地図情報、不動産登記情報等を整備し、行政系データについては、法律、政令、省令、支援制度、公共施設等の情報を整備する予定である。最新情報を一元的・容易に参照できるようにすることで、個人や企業がビジネスチャンスをつかみやすい環境を整える。将来的には、物流・配送のデジタル化や、土地情報の明確化により、税徴収・罹災手続きの迅速化を図っていく。

(注)複数の行政サービスを1つのアカウントで利用できる、デジタル庁が提供する法人・個人事業主向け共通認証システム

■ ベース・レジストリの今後

2025年までにベース・レジストリの仕組みを構築し、世界のデータとつなげたい。30年には、あらゆる行政・民間サービスをより公平かつ便利に利用できるデジタル社会の実現を目指している。今後の課題は、データを適切に共有できるよう、社会のマインドセットを変えることである。プライバシー保護やリスク管理を前提に、オプトインやオプトアウトを活用したデータ共有を促進していく。

【産業技術本部】

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