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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年1月1日 No.3527 副会長新年メッセージ

隅修三副会長(東京海上日動火災保険相談役)

昨年のCOP26では化石燃料の利用そのものが議論の対象となる一方、近時はエネルギー価格が高騰し、国民生活に与える影響も大きくなってきています。資源のほぼ全量を輸入に頼るわが国は、再エネだけでなく、原子力やゼロエミッション火力を加えたクリーンエネルギー戦略を打ち出し、安価で安定したエネルギー供給を図る必要があります。

こうしたなか、わが国では新政権のもと、日本経済再興に向けた新たな取り組みが始まりました。大変革期を迎える今、最も重要なことは、時代の変化や社会課題を踏まえた新たな需要の創出です。その成否は、GXやDXを通じたイノベーションによって、既存産業がいかに大きく変われるか、また新たな成長産業をいかに生み出すことができるかにかかっています。そこで得た果実を従業員も含めて適正に分配していければ、おのずと光明が見えることでしょう。新しい資本主義やクリーンエネルギー戦略の具体化に向け、今年が良きスタートになるよう尽力して参ります。

冨田哲郎副会長(東日本旅客鉄道会長)

この二年間、飲食業や観光業といった地域経済を支えるサービス産業が大きな影響を受けてきましたが、ワクチン接種の進展で回復への兆しが見えてきました。本年は感染拡大防止や医療提供体制を確保しつつ、経済活動の活性化を進めて日常を取り戻す、前向きな一年にしていきましょう。

岸田政権は成長と分配の好循環を掲げていますが、分配の前提はパイの拡大です。そのためには、第一に、エンゲージメントの向上により、アウトプットを最大化する「働き方改革フェーズⅡ」で生産性を高めることが必要です。第二に、官民一体で新たな研究開発投資とその社会実装化を進め、新しい成長産業を育てることが不可欠です。そして第三に、観光・農業・デジタル・エネルギーといった、地域経済の土台となる産業を通じて地方創生を進め、中央と地方の連携で持続的成長を作り出すことが、サステイナブルな資本主義を確立する鍵となります。

顕在化した課題やリスクに主体的に取り組み、これを克服し解決するべく、尽力して参ります。

片野坂真哉副会長(ANAホールディングス社長)

世界は未だ新型コロナの制圧に至っていません。本年こそ、人々の不安を払拭し、豊かな経済社会を取り戻すべく、全力を挙げて参ります。

岸田内閣は、「新たな資本主義」を掲げており、これは経団連の「。新成長戦略」の方向性と軌を一にするものです。政府と連携し、感染拡大防止と経済社会活動の両立をはじめ、DX・GXの推進、国際的な人の往来再開等、山積する国内外の課題解決に向けて、果敢に取り組みを進めます。また、機微技術や重要インフラの保全等、経済安全保障への対応も急務です。自由な経済活動の維持、競争優位と自律性の確保を目指し、政府との議論を一層深めます。

経団連は、政府の政策立案や社会課題の解決に対して提言し、具体的な成果を出すとともに、B7やB20等のグローバルな会議の場でも存在感を高めています。

ウィズコロナが続いても、決して屈しない持続可能な経済社会を作り上げることが肝要です。今年はその一歩を踏み出す重要な年であり、私も尽力して参ります。

杉森務副会長(ENEOSホールディングス会長)

一昨年から続く新型コロナによる行動や価値観の変化は現在も続いており、将来の見通しが困難な状況が続いているなか、次の時代を見据え、昨年から国内外で様々な動きが起きています。

特に気候変動問題については、昨年11月のCOP26において、パリ協定のルールが定まったことや、1.5℃努力目標への野心の引き上げなど一定の成果がみられ、世界規模での機運がさらに高まっています。

環境、エネルギー政策が一体不可分ななか、わが国においても昨年10月に新たなエネルギー基本計画が策定されました。最近の化石燃料の価格高騰の問題もそうですが、エネルギー需給構造が脆弱なわが国においては、高い環境目標を掲げつつも、S+3Eのバランスを取り、エネルギーのベストミックスを実現していくことが重要です。

実現には、課題が多岐にわたりますが、再エネ・水素などの革新的イノベーションが不可欠です。この状況を我々経済界は、新時代への飛躍の好機と捉え、全力で取り組んでいく所存です。

中村邦晴副会長(住友商事会長)

昨年は長きにわたり緊急事態宣言、まん延防止等重点措置下に置かれた厳しい一年でした。

そのような状況のなかでも、多くの関係者のご尽力により東京2020大会が無事開催され、選手たちの躍動が人々に勇気と感動をもたらしたことは、コロナ禍からの復活に向け非常に大きな力になったと感じます。

互いに向き合い同じ空間と時間を共有することは、アスリートの世界だけではなくビジネスパーソンにとっても等しく価値があるものです。経済の本格復興を目指すうえでも、一日も早く国内外での自由な人の往来を取り戻すことが重要です。予断は許しませんが、ワクチン接種と治療薬の普及により、社会経済活動が回復基調からさらなる成長を遂げる一年となることを期待しています。

超高齢・人口減少時代にどういう経済社会を目指すのか。DX等による成長の促進、脱炭素の実現、地域創生、そして財政健全化に向けた道筋も含め、新型コロナ後を見据えた青写真をしっかりと描いていけるよう尽力して参ります。

平野信行副会長(三菱UFJ銀行特別顧問)

新型コロナの収束に時間がかかっているなかにあっても、世界ではポストコロナに向けた次の成長を模索する動きが活発化しています。

我々は、GXとDXを軸に社会のあり方や産業構造を大きく変え、経済を力強く再起動するために、明確なビジョンを掲げ、実効性の高い長期的な戦略を具体化させなければなりません。その際、構造改革や規制改革の必要性から目を背けず、成長性・生産性の高い分野への労働力の移動、スタートアップが飛躍できる環境の整備、あるいは働き手のエンゲージメントの向上などを通じてイノベーションを実現することが、わが国の競争力の強化や社会の活性化につながると考えられます。

今年は、岸田政権が「新しい資本主義」のもとで新たな政策展開を進めるなか、日本の持続的成長の土台を再構築するための重要な一年になります。人口減少・高齢化、潜在成長力の低下、さらには財政悪化という重荷を背負った日本を再びサステイナブルな成長軌道に乗せるべく、経済界も全力で取り組んで参ります。

渡邉光一郎副会長(第一生命ホールディングス会長)

昨年誕生した岸田内閣は「成長と分配の好循環」を掲げました。その実現に向けた戦略として、「安心と成長を呼ぶ『人』への投資」等を挙げているとおり、持続的な成長の源泉は人材育成です。

これまでも、リカレント教育や大学改革、雇用制度の見直し等が議論されてきました。重要なのは、Society 5.0という新しい時代に対応する教育と雇用システムがシームレスにつながることで、誰もがいつでも学び直しに挑戦でき、その成果を仕事に活かすという循環を実現することです。

そのためには、社会人が学び直しやすい環境作りや雇用形態の柔軟化、従来の単線型から多様で複線的なキャリアパスへの転換等が求められます。また、大学にはSTEAM教育や起業家教育など、新たな社会に求められる人材の育成を担うことが期待されます。

人材への投資は、経済成長のみならず、一人ひとりのWell-beingの実現にもつながります。本年も引き続き、産学連携のもと、「学び」と「仕事」の好循環の確立に尽力する所存です。

篠原弘道副会長(日本電信電話会長)

昨年は9月にデジタル庁が発足し、まさに「デジタル化元年」といえる一年である一方、新型コロナにより行政、医療、教育などにおけるDXの遅れが明らかになった一年でもありました。

今年はDx(デジタル化)に留まらずDX(デジタル技術とデータ利活用による社会基盤の変革)を社会実装していくことが重要になります。

DXの社会実装の鍵は「事例創出の加速」と「具体的な利便性を目に見える形で提示する」ことです。その際、最初から完璧を求めるのではなく、及第点から始め、利用しながら改良していくというアジャイル的な手法に対して、社会や国民の理解・賛同を得ることも非常に重要です。

我々、経済界としても、新たな製品やサービスの開発・実装を進め、具体的な利便性・生活者価値を目に見える形で提示することで、データ利活用に対する国民の理解や信頼獲得を推進していく所存です。

大橋徹二副会長(コマツ会長)

昨年後半、新型コロナのワクチン接種が進み、変異株は心配ですが、新規感染者数は沈静化しています。経済は制限緩和により、持ち直しが期待される一方、少子高齢化による労働力人口の減少やG7中最下位の労働生産性の向上は、猶予を許さない喫緊の課題です。

本年もポストコロナに向けて、これらに取り組んで参ります。働き方改革のさらなる進化により、場所・時間にとらわれない自由な働き方が、幅広い人たちの労働参加を促します。働き手のエンゲージメント向上とD&I推進が、アウトプットを増大させイノベーションを喚起し労働生産性を高めます。成長産業への円滑な労働移動も重要です。働き方改革に対応した裁量労働制の拡大、労働時間法制の見直しに向けた議論も開始すべきと考えます。社会全体の効率向上には、Society 5.0 for SDGs実現に向けてのデジタル化の加速・規制改革が必要です。

3年ぶりにTICAD8がアフリカで開催され、日阿の関係強化にも尽力したいと思います。

佐藤康博副会長(みずほフィナンシャルグループ会長)

昨年も新型コロナによる閉塞感が続きましたが、東京2020大会の開催実現やワクチン接種の普及など、コロナ禍からの回復に向けて少しずつ歩みを進めた一年でした。経団連は十倉新体制のもと、Society 5.0の実現へ向け、DXやGX、働き方改革や地方創生など、日本が直面する様々な課題に取り組んでいます。特にDXは、人口減少下にあるわが国において、持続的な成長を実現するために必要不可欠です。また、経済安全保障の重要性も増すなか、わが国の科学技術の国際競争力の強化が一層重要となります。そうした観点から、今後は産学官連携の強化やイノベーションの創出、先端技術の社会実装化を推進するとともに、それらを支える人材の育成、変革の阻害となる規制制度の改革などを大胆に進めていく必要があります。昨年発足した岸田内閣は新しい資本主義の実現を掲げており、まさに経団連の目指す方向性と軌を一にしています。官民一丸となり、わが国の持続的な成長の実現に向けて全力で取り組んで参ります。

菰田正信副会長(三井不動産社長)

本年は新型コロナとの共生を強いられながらも、経済再生・成長へと確かな歩みを進める正念場の一年となります。予防、検査、治療の推進・強化等により、経済活動や人の流れを止めることなく、感染拡大防止と経済の両立を図っていかなければなりません。

経済成長の重要な柱となるのが、社会全体での脱炭素に向けた取り組みです。産業界が一丸となって、技術イノベーションを推進するとともに、サプライチェーン全体でのCO2削減に向けた努力がきちんと反映される仕組みを整備すること等が必要です。街づくりでも、住宅や建築物の環境性能の向上や再生可能エネルギーの導入等、脱炭素の取り組みを加速させるとともに、DXによる街全体のスマート化とリアルな空間の価値向上を図り、持続可能な社会の実現につなげていきたいと考えております。

「成長と分配の好循環」を掲げる岸田政権と連携しながら、経済界も様々な分野で経済成長を確かなものとし、サステイナブルな資本主義の実現に努めて参ります。

太田純副会長(三井住友フィナンシャルグループ社長)

ワクチン接種が広まり、わが国の経済・社会にもようやく明るい兆しが見えてきました。変異株との「いたちごっこ」はしばらく続きそうですが、本年は長引く閉塞感から抜け出し、本格的な回復に向けて歩みを進める年になるとみています。

ウィズコロナが常態化するなか、まずは、これまでに培った経験や科学的知見を踏まえて医療提供体制を再構築し、感染症対策と社会経済活動の両立に向けて「足元」を固める必要があります。

同時に、中長期的な成長に向けた仕込みも欠かせません。DXやGXを始め、様々な分野でのイノベーションの創出と社会実装が求められます。特に、急速に関心が高まっている気候変動対策に関しては、カーボンニュートラルの成否を分ける「決定的な十年間」が着実に時を刻むなか、もう一段取り組みを加速させねばなりません。

今年は、国内外で重要な政治イベントが予定されていますので、国際社会の動向にも目を配りながら、わが国経済の持続的な成長に向けて、精一杯取り組んで参ります。

安永竜夫副会長 (三井物産会長)

ポストコロナ時代の環境変化を見据えて、将来ビジョンを明確にし、日本経済の成長力の底上げに向けた果敢な挑戦が求められる一年になると考えます。不確実な時代こそアニマルスピリットを持って活力を取り戻し、官民一体で本邦企業の競争力を高めることが重要です。

GX・DXを原動力にグローバルな資金を引き付けつつ、日本の優れた技術・製品・サービス・インフラを積極的に海外に展開、普及を促し、本邦企業の事業機会の拡大につなげていかなければなりません。経済界は人的投資や働き方改革の深化も進め、生産性を高めて成長戦略を具現化することが必要です。一方、政府には大胆な規制緩和により民需主導の持続的な成長を続けるための財政運営と改革の断行を期待します。

感染再拡大や新たな変異株の出現に対する警戒感も強まり、依然先行き不透明な状況が続いています。活力ある日本経済社会の構築に向け、本年も精一杯取り組んで参ります。

東原敏昭副会長(日立製作所会長)

2022年を迎え、30年度に温室効果ガス排出量を13年度比46%削減する目標期限まで残り8年となりました。一方で、50年のカーボンニュートラルに向けた取り組みも必要です。

時間的猶予はありません。科学的根拠に基づいたロードマップを早急に仕上げ、国民と共有するとともに、進捗を速やかに検証できる体制の構築が求められます。

また、30年目標に向け、利用可能な技術の実装を迅速に進めつつ、50年目標を見据え、大気中の二酸化炭素の直接回収や人工光合成などカーボンネガティブを実現する新技術の基礎研究を進めることが大切です。

そのうえで、30年・50年目標達成に不可欠なのが安全確保を大前提とした原子力発電所の再稼働です。高い削減目標を掲げた日本は、具体策を固める責務があります。

50年のあるべき社会像を描き、そのために必要となる技術開発を進め、グリーンな社会システムへの変革(=GX)に向けた重要な一歩とする、そのような年にしたいと思います。

橋本英二副会長(日本製鉄社長)

今年も新たな変異株の発生など、ウィズコロナの対応が求められる一年になると思います。供給、物流のボトルネックによる需給タイト化に加え、脱炭素に向けた動きの急加速による脱炭素技術・資源への先行投資、化石燃料新規開発の停止によるエネルギーコスト高により、あらゆるモノのコストが上がるグリーンフレーションが大きな懸念です。

脱炭素へ向けた動きは後戻りが無く、2050年カーボンニュートラルに向けてわが国は、電力、産業、民生、運輸各セクターで、前人未踏の技術開発、省エネ対策に取り組んで参りますが、天然資源や再生可能エネルギーに適した立地に恵まれない島国である日本は、かつてないコストアップや生活の変容を乗り越えていかなければなりません。産業界として、技術開発に磨きをかけ、DXを進め、国際競争に打ち勝って国民の雇用と生活を支える使命を果たし続けるためには、官民挙げた国家総力戦で取り組む必要があり、私自身も最大限尽力する所存です。

津賀一宏副会長(パナソニック会長)

長期化しつつある新型コロナの感染拡大は、我々に様々な制約や困難を突き付けた一方、テレワーク等、人々に行動変容をもたらし、新たな価値を生み出しました。この価値観や意識の変化を一過性のものとせず、より良い社会の実現に向けて活かしていく必要があります。

人々の豊かさを示す概念として「Well-being」への関心が高まっています。豊かさの指標は多様であり、それぞれの「人らしさ」「地域らしさ」があるように思いますが、暮らしやすい社会の基盤作り、地球環境との共存が欠かせません。それを支えるためのDXとGXであり、大企業とベンチャー、大都市と地方、グローバルとローカルなどがバランスよく協創することが重要と思います。

経団連は、「。新成長戦略」として、サステイナブルな資本主義を実現し、新しい価値を生み出すことを目指しています。新しく発足した岸田政権とも、官民一体となって変革に取り組み、より多くの人がWell-beingを実感できるよう取り組んで参ります。

南場智子副会長(ディー・エヌ・エー会長)

コロナ禍論議に終始し本質的課題が見失われることを危惧しています。世界ではこの30年でスタートアップが次々と生まれ、時価総額トップの顔ぶれを塗り替えました。そのなかで、日本企業は相対的に存在感を失ってきました。日本の大企業が思い切った投資ができず経済全体がしぼんでいったのです。夢を追いかけて投資を先行させるスタートアップを経済再興のポンプとして活用すべきです。

経団連ではスタートアップの数と成長を10倍にするための取り組みを進めています。新しい価値を提供して世界で大勝するスタートアップが日本から生まれることを願ってやみません。GX・DXにもスタートアップの課題解決力を活用すべきです。餌にピラニアが群がるように、新たな課題にスタートアップが群がる姿が起業先進国ではみられます。大企業だけに課題の解決を委ねていては、日本は「課題先進国」から「課題多き後進国」になるだけです。2022年が節目の年となるよう全力を尽くします。

久保田政一副会長(経団連事務総長)

十倉雅和会長が、経団連会長に就任されて以降、6カ月がたちました。この間、ワクチン接種の促進を政府に強く働きかけるとともに、サステイナブルな資本主義の実現に向けて積極的に取り組んでこられました。

本年は、このような活動をさらに本格的に展開する年にしていきたいと考えております。具体的には、新型コロナ対策の徹底、科学技術立国を目指したデジタル化、グリーン化の推進、スタートアップ振興、地方創生、働き方の変革と人材の育成、国際社会との連携・協調、財政健全化と持続可能な全世代型社会保障改革等に全力で取り組んで参ります。

これらの課題は、成長と分配の好循環を目指す岸田首相の「新しい資本主義」と軌を一にするものです。十倉会長には「経済財政諮問会議」や「新しい資本主義実現会議」等において、強く働きかけて頂きたいと考えております。

引き続き、会員企業の皆様のご理解、ご支援を頂くよう、お願い申し上げます。

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