Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年1月13日 No.3528  「アンコンシャス・バイアスセミナー」を開催

経団連は12月8、14の両日、会員企業の役員を対象に「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」に関する参加型セミナーをオンラインで開催した。ダイバーシティ&インクルージョンの専門家である塚原月子カレイディスト代表取締役が、アンコンシャス・バイアスの概念とメカニズム、身近なアンコンシャス・バイアスを克服するための行動変革等について解説した。概要は次のとおり。

■ アンコンシャス・バイアスとは

女性をはじめとする多様な人材の能力開発やキャリア形成を困難なものとする大きな要因として、アンコンシャス・バイアスが挙げられる。アンコンシャス・バイアスとは、過去の経験や社会的背景等から影響を受けて、特定の個人や社会的集団に対して、無意識のうちに形成される偏った認識のことである。無意識のうちに形成されるため、その意味では、誰もが少なからずアンコンシャス・バイアスを持っているといえる。経営者が自らの意思決定、行動に影響を与えている可能性のあるアンコンシャス・バイアスを克服することが、人材を活かすうえでのカギとなる。

■ ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン

「平等(Equality)」とは、「異なる人々に対して、全く同じ扱いをする」概念である。これに対して「公正・公平(Equity)」とは、「特徴の異なる人々に、その特徴に応じて適切に対応する」という概念である。例えれば、Equalityは「あらゆる人に同じ大きさの自転車を用意する」もので、Equityは「それぞれの人に対応した自転車を用意する」ものといえる(図表参照)。このEquityの概念を意識して、すべての人が等しい機会を得て、自らの力で活躍できるよう、その力を「包摂(Inclusion)」する対応が必要である。

平等と公正・公平の違い

■ ダイバーシティと組織の生産性

同質性の高い組織では、時間の経過とともに生産性の上昇は低下する。一方、組織のダイバーシティの度合いが高くマネジメントされた組織では、多様な思考やアイデアがぶつかり合うことで、時間の経過とともに生産性が高まり続ける。ただし、多様性があるだけでマネジメントされていない組織の生産性は、同質性の高い組織の生産性よりも低下してしまう。組織は、多様で異なる人々を包摂したうえで、マネジメントをしていくことが重要である。

■ マネジメント層として取り組むべきこと

マネジメント層には、以下の三つが必要である。一つ目は、アンコンシャス・バイアスの存在やその影響を理解したうえで、成長させたい対象者へのスポンサーシップの発揮(キャリア構築の支援)をすることである。その際、対象者のキャリアゴールとゴールに至るために必要な経験を明確にしていくこと、ホットジョブ(大きな仕事)で経験が積めるよう、背中を押すことが大切である。二つ目に、アンコンシャス・バイアスに立ち向かう行動改革として、自分自身の偏見に向き合い、日常の些細な言動から見直していくことである。三つ目に、女性をはじめ、多様な人材を活かすインクルーシブな職場環境を実現するため、「インクルーシブ・リーダーシップ」を発揮することである。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】