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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年2月3日 No.3531 春季労使交渉・協議の焦点〈1〉 -連合の春季生活闘争方針

1月26日に開催した連合との懇談会を皮切りに、春季労使交渉・協議が本格化する。そこで、6回にわたり、同交渉・協議の焦点等を解説する。初回は、連合の春季生活闘争方針を取り上げる。

Q 連合の2022春季生活闘争方針の基本スタンスを教えてください。

A 連合は、2022春季生活闘争において「人への投資」を積極的に求める「未来づくり春闘」を打ち出しています。具体的には、(1)賃上げ(2)働き方の改善(3)政策・制度の取り組み――を柱と位置付けています。そのうえで、感染症対策を図りながら景気を安定的に回復させるとともに、中期的に分配構造を転換し「働くことを軸とする安心社会」の実現を目指すとの考えを示しています。
加えて、建設的な労使交渉を通じ、成果の公正な分配を図り、広く社会に波及させていくことを掲げています。

Q 月例賃金の要求はどうなっていますか。

A すべての組合が月例賃金の改善にこだわり、「底上げ」「底支え」「格差是正」の取り組みをより強力に推し進めるとしています。
具体的な要求指標としては、これまで以上に賃上げを社会全体に波及させるため、それぞれの産業における最大限の「底上げ」に取り組むとして、「賃上げ分2%程度」「定期昇給相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め4%程度の賃上げ」を目安として示しています。
「格差是正」では、企業規模間と雇用形態間のそれぞれの目標水準と最低到達水準を前年から数千円単位で引き上げ、その到達を目指すとしています。
「底支え」では、企業内最低賃金協定の締結を求め、目標水準を前年から50円引き上げ、時給1150円以上としています。
企業規模間の格差是正の取り組みについては、中小組合(組合員数300人未満)に対して、賃金カーブ維持相当分を確保したうえで、自組合の賃金とさまざまな指標を比較し、その水準の到達に必要な額を加えた総額での要求を求めています。賃金実態が把握できないなどの事情がある場合は、「賃金カーブ維持分4500円」に「賃上げ目標額6000円」を合算した「総額1万500円以上」を目安とする要求水準を掲げています。

連合「2022春季生活闘争方針」における月例賃金引き上げ要求内容

(図表のクリックで拡大表示)

Q 賃金以外の要求はどうなっていますか。

A 連合は、日本の生産年齢人口が減少の一途をたどっており、コロナ禍から経済が再生していく過程において「人材の確保・定着」と「人材育成」に向けた職場の基盤整備が重要としています。そのうえで、健康で働き続けられる労働時間と過労死ゼロの実現、ワーク・ライフ・バランス社会の実現、個々人の状況やニーズにあった働き方と処遇のあり方など、職場の基盤整備に向けた総体的な議論と協議を呼びかけています。

◇◇◇

連合の闘争方針を踏まえ、傘下の主要な産業別労働組合は2月中旬までに統一要求項目等を機関決定します。その後、大手を中心に多くの企業別労働組合が2月中を目途に要求を企業へ提出。3月中旬以降の回答指定日に向けて、各企業において今年の春季労使交渉が本格的に始まります。

【労働政策本部】


春季労使交渉・協議の焦点(全6回)
〈1〉連合の春季生活闘争方針
〈2〉経営側の基本スタンス
〈3〉働き方改革深化の重要性
〈4〉日本型雇用システムの見直し
〈5〉育児・介護休業法の改正
〈6〉雇用保険法の改正

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