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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年3月31日 No.3539 ギュンゲン駐日トルコ大使と懇談 -最近のトルコ情勢をめぐり/日本トルコ経済委員会

経団連の日本トルコ経済委員会(斎藤保委員長)は3月2日、コルクット・ギュンゲン駐日トルコ特命全権大使とのオンライン懇談会を開催した。最近のトルコ情勢、日トルコ関係の動向等について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ トルコ経済

過去2年間、トルコは新型コロナウイルスの影響により困難な状況下にもかかわらず、経済成長を維持した。トルコの主要な貿易相手は欧州で、2021年の輸出額(2253億6800万米ドル)の41%、ならびに輸入額(2713億5500万米ドル)の33%を占めている。輸入相手国の第3位はロシアであり、特にエネルギー資源の多くを輸入している。

トルコとEUの関係は長く、1960年代にまでさかのぼるものの、EU加盟交渉では、いくつかの課題が生じている。トルコでは多くの基準をEU基準に合わせていることと、関税同盟の改定が、今後、EUとの良好な関係へと発展させることを望んでいる。

現在、インフレが深刻な問題である。今年1月にはインフレ率が前年同月比48.69%に達した。政府が必要な対策を取っており、今後改善することを期待している。

観光はトルコの重要産業の一つである。19年に5100万人に上った観光客は20年に1500万人にまで落ち込み、日本からの観光客も激減した。ロシアとウクライナはトルコへの観光客数のトップ5に入っている。

■ 地域情勢とトルコ

トルコは東西南北の結節点という、戦略的に重要な場所に位置する。トルコに現在大きな影響を与えているのは、シリア、アフガニスタン、そしてウクライナの情勢である。シリア情勢は一部解決や交渉が進んでいるものもあるが、今も350万人の避難民がトルコで生活している。アフガニスタンでは、タリバンが実権を掌握したが、世界はこれを認めていない。カブールに現在も大使館を置くNATO加盟国はトルコのみであり、現在も多くの避難民を受け入れている。

ウクライナでのロシアの行動は、ウクライナの領土保全と主権を脅かすものであり強く非難する。トルコは両国と深い関係がある。平和的解決のため、これまでも、これからも行動する。

■ 日トルコ関係

日トルコ間では、20年に技術協力協定が結ばれた。今後、国際協力機構(JICA)との協力において、その効力が発揮されよう。また国際協力銀行(JBIC)はこれまで多くの官民プロジェクトに投資しており、最近は特にグリーンエネルギー分野に力を入れている。

対日貿易では、トルコの貿易赤字が問題であり、世論の関心も高い。輸出品は食料品が中心だが、輸出品目の多様化を望んでいる。

日トルコによる第三国協力も欠かせない。すでに中央アジアや中東で多くの取り組みが進められているが、今後、アフリカへの展開も重要である。

日トルコEPA交渉は14年から現在までに17回の会合があったが、いまだ締結には至っていない。日本とは友好的な関係にあるにもかかわらず、EPAが欠如している。他方、貿易赤字はEPA締結における一つの障壁となっている。

日トルコの企業を結ぶ存在として、経団連は重要であり、DEIK(トルコ海外経済評議会)との合同委員会は今後も重要なプラットフォームである。23年はトルコ建国100周年、24年は日トルコ国交樹立100周年という節目の年であり、さらなる関係強化のために準備を進めている。

【国際経済本部】

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