Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年5月19日 No.3544  子どもたちの体験活動の充実に向けて -企業行動・SDGs委員会経団連1%クラブ

安彦氏

企業行動・SDGs委員会経団連1%(ワンパーセント)クラブ(福田里香座長)は4月7日、東京・大手町の経団連会館で「子どもの体験活動の充実」をテーマに文部科学省担当者を招き、会合を開催した。

冒頭、総合教育政策局の安彦広斉社会教育振興総括官は、「子どもたちは学びにおいて、体験と知識を組み合わせながら試行錯誤して自身の力を養っていく」と指摘。「実体験なく知識だけ得ても能力が偏ってしまう」ことを懸念しつつ、今後の展望として、デジタルツールを上手に使いながらもリアルの体験機会を取り戻したいと語った。

続いて同局地域学習推進課の山本健司青少年教育室室長補佐が具体的な施策について説明した。概要は次のとおり。

今年2月、初等中等教育の教育政策改革に関する「教育進化のための改革ビジョン」(末松プラン)を公表した。同ビジョンの柱の一つは「リアルとデジタルの最適な組み合わせによる価値創造的な学びの推進」である。その一環として、地域や企業と連携した、学校内外での豊かな体験機会の確保を目指す。

文科省では、従来、企業との連携に関して、青少年の体験活動推進企業の表彰、土曜学習応援団というサイトを通じた体験活動事例の紹介、国立青少年教育振興機構での体験活動を行ってきたが、広域的な連携にはなっていない。

また、企業からは、「学校と連携を図りたいがつながりをつくりにくい」「単なる体験活動では企業側のメリットを見いだしにくい」といった課題があると聴いている。連携がうまくいっている要因としては、学校や教育委員会が教育目標に企業との連携を位置付けていること、年間指導計画策定段階から企業が関与すること、企業と学校をつなぐコーディネーターがいることなどが挙げられる。

教育現場との連携は、企業にとっても、将来の顧客や社員の養成に結び付く、教育に寄与する企業としてブランドイメージが向上する、教える社員側にとっても気づきや学びの機会となるといったメリットがあるだろう。

今後、体験活動推進のため企業との連携・実施体制を進めるにあたり、協力をお願いしたい。

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説明後の質疑応答では、企業側より、「学校とのコネクション欠如」という担当者の抱える悩みがあらためて寄せられた。また、東京オリンピック・パラリンピックは学校が企業と組みやすいテーマだったという意見もあることから、文科省から学校現場に対して、連携テーマを誘導することに期待する声もあった。

また、「コーディネーターの重要性」に関しては、文科省より、関係者間の違いを織り込みながらも目標を共有する役割がコーディネーターに期待され、子どもの良い学びに結び付くのではないかとの応答があった。これを受けて、企業側も、目標すり合わせ段階から教育委員会と連携して体験企画を立案した事例を報告したことから、参加者の理解促進につながった。

【SDGs本部】