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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年6月2日 No.3546 情報銀行に関する指針の改定 -デジタルエコノミー推進委員会企画部会データ戦略ワーキング・グループ

経団連は5月16日、デジタルエコノミー推進委員会企画部会データ戦略ワーキング・グループ(若目田光生主査)をオンラインで開催した。総務省情報流通行政局地域通信振興課デジタル企業行動室の小西建次郎課長補佐から、「情報信託機能の認定に係る指針Ver2.2(案)」および「情報銀行(注1)におけるプロファイリング(注2)の取扱いに関する議論の整理(案)」について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 「情報信託機能の認定に係る指針」について

パーソナルデータの適切な利活用を推進する観点から、総務省と経済産業省は「情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会」を設置し、情報銀行の認定制度を有効に機能させるための方策等について検討を進め、2018年6月に「情報信託機能の認定に係る指針Ver1.0」を公表した。同検討会は、情報銀行の運営上の課題等を踏まえ同指針を随時改定し、21年8月には同指針Ver2.1を公表した。その後、プロファイリングや改正個人情報保護法への対応について議論し、このたび、同指針Ver2.2(案)を作成した。

■ 指針改定案の概要

令和2年および令和3年改正個人情報保護法を踏まえ、主に仮名加工情報や個人関連情報に関する改定を加えた。新たに仮名加工情報と個人関連情報を情報銀行の取り扱い対象としつつ、個人の情報のコントローラビリティ向上に寄与するよう、一定の規律を加えている。具体的には、(1)仮名加工情報を取り扱う場合は、その旨を明示すること、共同利用は行わないこと、漏洩等が生じた際にその事実を公表すること(2)個人関連情報を取り扱う場合は、その旨と取り扱う情報の概要、取得元を明示すること――等を追加した。

また、プロファイリングの取り扱いに関する議論をもとに、情報銀行における一定の対応義務等について記載した。

■ 「プロファイリングの取扱いに関する議論の整理(案)」の概要

個人情報に対する個人のコントローラビリティを重視する情報銀行では、収集されたデータがプロファイリングに活用される際、本人の意図・想定しない目的に利用され、本人にとって不利益となることのないようにする必要がある。このため、同整理案では、プロファイリングによるリスクや、プロファイリングに関して情報銀行に求められる規律等について議論を整理した。

プロファイリングによるリスクとして、プライバシー権の侵害や不当な差別・選別、行動の萎縮、民主主義への影響等が想定される。このようなリスクから本人を守るため、同整理案では「要配慮プロファイリング」(注3)に関する規律のあり方を検討した。具体的には、特定のカテゴリーに属するプロファイルの作成を禁止する「禁止カテゴリー」の創設や、要配慮プロファイリングに用いるデータの制限、厳格な本人同意の取得、情報銀行の説明責任・透明性の徹底等について整理した。

個人情報の安全性を確保して適切に利活用する観点から、プロファイリングについて一定の制限は必要であるが、新たなビジネスモデルの創造を妨げないような規律が必要であり、引き続き検討していく。

(注1)本人とのデータ利用に関する契約等に基づき、PDS(Personal Data Store)等のシステムを活用して個人データを管理するとともに、本人の指示やあらかじめ指定した条件のもと、本人に代わり妥当性を判断のうえ、データを第三者に提供する事業

(注2)同整理案では「パーソナルデータとアルゴリズムを用いて、特定個人の趣味嗜好、能力、信用力、知性、振る舞いなどを分析または予測すること」と定義されている(「パーソナルデータ+α研究会」の定義による)

(注3)要配慮個人情報(個人情報保護法第2条第3項)等を推知する、対象者に重大な不利益を与える可能性のあるプロファイリング(例=疾患予測、社会的信用力の予測、政治的信条の予測、犯罪傾向の予測等)

【産業技術本部】

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