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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年6月30日 No.3550 ランズベルギス・リトアニア外相と懇談

ランズベルギス大臣(左から3人目)

経団連(十倉雅和会長)の平野信行副会長、東原敏昭副会長・ヨーロッパ地域委員長、佐藤義雄ヨーロッパ地域委員長、清水章同企画部会長は6月7日、東京・大手町の経団連会館で、来日中のガブリエリウス・ランズベルギス・リトアニア外務大臣と懇談した。ランズベルギス大臣の発言概要は次のとおり。

ロシアによるウクライナ侵攻は、欧州地域だけでなく国際秩序全体に深刻な影響を与えている。仮にロシアが勝利した場合、他の潜在的な侵略者にも誤ったメッセージを与え得るため、今後、他の地域において同様の戦争が起きないよう、国際社会と連携し、力による一方的な現状変更に対抗することが重要である。その観点から、日本政府による対ロシア制裁への参加およびウクライナへの支援を高く評価している。

リトアニアは、欧州のなかでも最も早い時期から、ロシアにエネルギー輸入を依存するリスクを認識し、脱ロシア依存を進めてきた。LNGの輸入先を多角化するために、2008年から、クライペダ港における貯蔵施設の建設を開始し、あわせて再生可能エネルギーの推進に取り組んできた。現在、欧州全体でも脱ロシア依存が検討されている。これは痛みを伴うプロセスであるが、同時に、ビジネスチャンスでもある。欧州は、エネルギー源の多様化を図るべく、新たなパートナーを探している。

また、中国との関係について、リトアニアは台湾との関係強化を図ったため、中国からの厳しい制裁に直面し、対中輸出はほぼ停止してしまった。現在、EUが中国のリトアニアに対する差別的な貿易措置について、WTOに提訴しており、日本政府による第三国参加に感謝する。リトアニアは小国であるが、力による現状変更には屈しないという揺るぎない信条を持っており、国際社会の庇護を受けている。

現在、貿易投資全般について、政治体制の異なる国に過度に依存するリスクへの懸念が高まっており、リトアニアも安全保障の観点から、投資スクリーニングを強化している。リトアニアは、日本を含む基本的価値観を共有する国々との連携強化を望んでいる。特に、バルト三国を縦断する鉄道プロジェクト「レール・バルティカ」やEUとの電力網同期化プロジェクトなどのインフラ分野に、日本企業からの投資拡大を強く期待している。

【国際経済本部】

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