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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年7月14日 No.3552 次期戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の検討状況 -イノベーション委員会企画部会

経団連のイノベーション委員会企画部会(江村克己部会長)は6月6日、オンラインで会合を開催した。内閣府の須藤亮政策参与SIPプログラム統括と植木健司SIP/PRISM担当参事官から、次期戦略的イノベーション創造プログラム(Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program、SIP)の検討状況について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

2023年度からのスタートに向けて、SIPの準備を進めている。

次期SIPでは、わが国が目指す将来像である「Society 5.0」の実現に向けて、従来の業界・分野の枠を超えて、革新技術の開発・普及や社会システムの改革が求められる領域をターゲット領域(課題候補)として設定している。具体的には、サーキュラー・エコノミーシステムの構築、スマートモビリティプラットフォームの構築、統合型ヘルスケアシステムの構築などが挙げられている。今後、各課題候補についてフィージビリティスタディ(FS)を実施し、具体的な研究テーマを検討する。

課題候補の具体化と並行して、制度・運用面の見直しも進めている。主な検討項目と検討状況は以下のとおりである。

(1)次期SIPの課題設定

21年末に、わが国が目指す将来像「Society 5.0」からバックキャストして、15の課題候補を決定した。また、課題候補の選定にあたっての今後の取り組み方針として、次期SIPの基本的な枠組みを整理した。22年1~2月にかけて、各課題候補について情報提供依頼(RFI)を実施した。大学や研究機関、企業、ベンチャー等から幅広く提案を募ったところ、1000件近い応募があった。

(2)運営体制

プログラムディレクター(PD)の利益相反は重要な問題であり、FSにあたっても利益相反マネジメント規則等を定めた。今後、FSの状況を踏まえ次期SIPの利益相反マネジメント体制の整備を検討する。また、プロジェクトマネジメント体制について、22年3月末に「管理法人」の呼称を「研究推進法人」へと改めるなど運用指針を改正した。今後は、SIPのマネジメントにおけるPD、内閣府、関係省庁、研究推進法人との役割分担と連携体制などを検討し、SIPに関するマネジメントガイドラインを作成する。

(3)関係省庁との連携

FSで省庁連携により取り組むべき研究開発テーマを検討し、社会実装に向けて、関係省庁のプロジェクトや施策において期待される取り組みなどを整理し、関係省庁の役割を位置付ける。

(4)研究実施体制

RFIでは、ベンチャーや若手研究者からも応募してもらえるよう周知に取り組んだ。FSでは、スタートアップ等での取り組み状況を調査し、スタートアップ等が参加しやすいテーマや仕組みを検討する。また、FSで研究インフラ活用のニーズを把握したうえで、必要な措置を優遇して提供することを検討する。

(5)評価の仕組み

各研究開発テーマの評価は各分野の専門家によるピアレビュー(技術評価)を基本とし、ガバニングボードでの評価は課題単位での社会実装に向けた戦略について実施する。また、SIPを取り巻く国内外の経済・社会情勢、関係省庁や産業界での取り組み状況等を踏まえ、研究開発テーマの見直し、関係省庁や産業界で期待される取り組み等について、必要な助言や支援を行うことを検討する。

(6)社会実装

TRL(Technology Readiness Level)に加えて、BRL(Business Readiness Level)、SRL(Social Readiness Level)、GRL(Governance Readiness Level)、HRL(Human Readiness Level)等の指標を検討する。次期SIPのFSを通じて、目標設定、関係省庁や産業界などの関係者との社会実装にかかる合意形成への活用を試行的に実施する。

(7)マッチングファンド

SIPと関連する個社の研究開発をあらかじめマッチングファンドとして位置付けることで、社会実装に向けた取り組みを促進する。マッチングファンドの対象範囲や算定方法はFSを通じて検討する。

(8)広報

SIP成果の利用者サイドのニーズ調査を実施し、ニーズに合わせた広報手法・媒体を検討する。SIPの目指すビジョンや成果の情報発信コンテンツ制作、それらを継続的に発信する情報プラットフォームの構築等を検討する。

(9)フォローアップ体制

SIP終了後にもPDに制度上の一定の役割を設定して、活動費を手当てし、定期的にフォローアップを担ってもらうことを検討する。SIP終了後にさらなる研究開発が必要となる場合、PRISM等を活用して関係省庁の協力のもとで継続的に取り組む。

【産業技術本部】

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