1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2022年8月4日 No.3555
  5. エマニュエル駐日米国大使と懇談

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年8月4日 No.3555 エマニュエル駐日米国大使と懇談 -日米連携の強化を通じてエネルギー安全保障の確保

エマニュエル大使(左)と十倉会長(提供:米国大使館)

経団連(十倉雅和会長)は7月15日、東京・大手町の経団連会館でラーム・エマニュエル駐日米国大使との懇談会を開催した。エマニュエル大使による説明の概要は次のとおり。

■ 認識すべき世界の変化

従来、コストと効率性は、経済関係を構築するうえで、重要な意思決定要因であった。しかし今、これまで重視されてきたコストと効率性は、安定性と持続可能性に置き換えられている。この変化をもたらした要因は、主に三つある。第1に、コロナ禍でサプライチェーンの脆弱性があらわになり、第2に、ウクライナ侵略がサプライチェーンの混乱に拍車をかけた。第3に、中国の問題が挙げられる。中国は、国際ルールを順守していないことに加え、輸出規制等の経済的な威圧を通じて、国際社会における政治的圧力を強めている。コストや効率性、市場アクセスの観点から、中国とビジネスを行う必要性は理解できる。しかし同時に、企業は、中国とのビジネスにおける脆弱性をよく認識すべきである。そして、G7は、協力して中国に対抗すべきである。

リセットボタンを押して、これらが起こる以前に戻ることはできない。環太平洋パートナーシップ(TPP)の市場アクセスが、多くの国にとって魅力的であることは理解するが、世界が変化していることを私たちは認識しなければならない。

■ エネルギー安全保障の確保に向けた日米協力

昨今の重要課題は、市場アクセスよりむしろ、エネルギー安全保障の確保であり、このための日米協力が不可欠である。例えば、アラスカには、日本に供給可能な数十年分の液化天然ガス(LNG)がある。アラスカからLNGを輸入すれば、日本はエネルギー源を多様化させ、安定的にエネルギーを確保できるばかりか、それを再輸出することで、インド太平洋地域におけるLNG供給の拠点になることさえ可能になる。その他、気候変動対策に不可欠な原子力について、日米両国は小型モジュール炉(SMR)に強みを持つほか、蓄電池の研究開発や水素の分野においても、日米協力の強化が期待できる。エネルギー安全保障の確保に向け、日米の連携を強化したい。

【国際経済本部】

「2022年8月4日 No.3555」一覧はこちら