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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年9月8日 No.3558 オルタナティブ教育の現状と課題 -教育・大学改革推進委員会企画部会

経団連は8月2日、教育・大学改革推進委員会企画部会(平松浩樹部会長)を開催した。聖心女子大学現代教養学部教育学科の永田佳之教授から、世界のオルタナティブ教育の現状と日本におけるオルタナティブ教育の充実に向けた課題について、説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 日本の子どもたちの現状

SDGsの17の目標に関する各国の達成状況を示した「SDGsインデックス&ダッシュボード」において、日本は、ゴール4「質の高い教育をみんなに」を2016年以降「達成済み」と評価されている。一方、不登校児童生徒数が約24万人と過去最多を記録するなど、「誰も取り残さない」SDGsから取り残された子どもが増えている。

また、日本は他国と比較して、「自分は創造的」と回答した生徒の割合が極端に低い。この課題を解決するうえで、オルタナティブ教育は有効な手段となる。

■ オルタナティブ教育の特徴と世界の潮流

オルタナティブ教育は、(1)公共性(2)刷新性(3)公教育との相互補完性(4)多様性(5)多元性――などの特徴を持ち、マイノリティーの立場から、その実践に際して協働性を重んじている。日本では、オルタナティブ教育が不登校児童生徒の受け皿となっている面がある。

オルタナティブ教育には、公教育に対して常にメッセージを送り、警鐘を鳴らし続けることを通じて、公教育が相対化され、社会全体の自己チェック機能が働くという側面がある。また、幼稚園と小学校の連携など、子どもに寄り添ったオルタナティブ教育の取り組みが一般の学校に広がるという好事例も存在する。

オルタナティブ教育の世界的な潮流は「積極支援・管理型」(行政がオルタナティブ教育に対して積極的に支援し、その質を管理する方式)である。しかし、オルタナティブ教育は独自性を重んじており、画一的な物差しで測ることが難しい。行政が管理することで、オルタナティブ教育の長所が失われてしまうおそれもある。オルタナティブ教育を推進し、創造的な子どもを増やすためには、「積極支援・育成型」(行政がオルタナティブ教育に対して積極的に支援する一方で、内容・運営等の自由度が高い方式)を目指すべきである。

■ 日本と海外におけるオルタナティブ教育の事例

「川崎市子ども夢パーク」の一角に設置された「フリースペースえん」では、画一的な教育になじめなかった不登校の子どもたち等を対象に、昼食づくりや実験・学習・体験合宿を実施している。

海外に目を向けると、インドネシアのオルタナティブスクールは、エコロジーの観点から、エネルギーや食などの問題解決に取り組んでいる。英国の公立学校では、学校全体を変え、根源的な問いを基本とする探究学習中心の教育を実践している。

オルタナティブ教育により、中長期的な問題を解決する力を持った人たちが生まれている。オルタナティブスクールが各地の学校数の1~2割になり、残りの8~9割と協働する社会をデザインできれば、世界はもっと楽しく、希望に満ちあふれたものになる。

【SDGs本部】

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