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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年9月15日 No.3559 提言「Society 5.0時代の海洋政策」を公表 -公表に先立ち、海洋開発推進委員会を開催

経団連は9月13日、提言「Society 5.0時代の海洋政策~次期海洋基本計画に対する意見」を公表した。政府は、海洋に関して講ずべき施策等を規定した海洋基本計画を5年ごとに決定しており、現在、2023~27年度を対象とする次期計画の策定を進めている。そこで、次期計画に盛り込み、政府が取り組んでいくべき施策について、(1)産業競争力の強化(2)海洋のグリーントランスフォーメーション(GX)(3)海洋安全保障の確保・地域活性化――の三つの柱に基づき整理し、提言を取りまとめた。概要は次のとおり。

1.産業競争力の強化

経済安全保障の観点から重要性の高まる海事産業の競争力強化に向けて、無人・自動運航船や水素・アンモニア等を燃料とする環境船舶の技術開発を促進するとともに、関連する国際ルールの整備を日本政府が主導していくべきである。

また、地政学リスクに左右されない国産資源の確保に向けて、レアアース泥の資源量把握や生産技術の開発をはじめ、政府が主体となり海洋資源の開発に継続的に取り組む必要がある。

2.海洋のGX

2050年カーボンニュートラルに向けて、洋上風力発電の導入促進は重要課題であることから、再エネ海域利用法に基づく促進区域の継続的な指定とともに、国内サプライチェーンの形成やコスト低減に資する技術開発への支援、基地港湾の整備推進等が不可欠である。

また、遠浅の海域が少ない日本において、大規模な導入が期待される浮体式洋上風力発電については、技術開発の促進や事業環境の整備に足元から取り組んでいくべきである。

3.海洋安全保障の確保・地域活性化

領海や排他的経済水域(EEZ)の適切な管理に向けて、海域の警戒監視にかかる先端技術の開発支援等が必要である。また、領海やEEZを根拠付ける国境離島の保全や活性化のため、法制面・予算面の手当ての拡充が重要である。

東アジアの海洋安全保障環境について聴く
-海洋開発推進委員会を開催

同提言の公表に先立ち、8月25日、海洋開発推進委員会(満岡次郎委員長)を開催し、笹川平和財団の小原凡司上席研究員から、東アジアの海洋安全保障環境等について聴くとともに、同提言案について審議し、了承した。小原氏の説明の概要は次のとおり。

中国は、12年の中国共産党第18回全国代表大会で、「海洋強国」建設を目標に掲げ、港湾建設や海軍配備の他、人工衛星を活用した海洋資源探査に注力するなど、海洋における動きを加速している。

東アジアにおいて存在感を高める中国は、さまざまな事象を通じて「新常態」をつくっている。直近では、ペロシ米下院議長の台湾訪問の後に、台湾を取り囲むかたちで軍事演習を行った。演習では台湾海峡とバシー海峡を封鎖できることを誇示するかのように部隊が配置されており、海上輸送の要衝であるこれらの海峡が万一封鎖された場合には、日本経済も大きなダメージを受けることになる。

中国は、一帯一路により西に影響力を拡大するだけでなく、太平洋島嶼国やラテンアメリカなど、東にも影響力の拡大を図っている。広い海域で中国の動きを注視する必要がある。

【産業政策本部】

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