Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年10月13日 No.3562  「地方への人の流れの創出に関する政府施策についての説明会」を開催

経団連は、「地域協創アクションプログラム」(2021年11月公表)に基づく活動を進めるなかで、都市部から地方への人の流れの創出に注力している。

地方では、ヒトの確保が課題であり、デジタルトランスフォーメーション(DX)・グリーントランスフォーメーション(GX)の担い手や経営人材として、都市部の企業人材(OB・OGを含む)を求める声が高まっている。

そこで、9月13日、「地方への人の流れの創出に関する政府施策についての説明会」を開催し、関係各省から各施策について、それぞれ説明を聴いた。概要は次のとおり。

<地方自治体での活躍に向けた施策>

企業版ふるさと納税〈人材派遣型〉(内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局)
https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/kigyou_furusato.html

自治体における地方創生関連事業への寄附(企業版ふるさと納税)の金額に人件費相当分を含め、自社の社員もあわせて派遣する仕組み。派遣された社員は、自治体あるいはその関連団体等の職員として寄附活用事業に従事する。企業側は、寄附によるコーポレートイメージの向上等に加えて、自社のノウハウの活用による地域貢献や人材育成の機会獲得の効果を期待できる。なお、人件費相当額を含む事業費への寄附により、当該経費の額については、最大約9割に相当する税の軽減を得ることも可能である。自治体は、金銭面で実質的な負担なく人材を確保できるメリットがある。

地方創生人材支援制度(内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局)
https://www.chisou.go.jp/sousei/about/jinzai-shien/index.html

地方創生に積極的に取り組む市町村長の補佐役として、意欲と能力のある民間専門人材等を派遣する制度。企業の現役社員のほか、国家公務員・大学研究者が半年から2年の間で、観光事業等の各種戦略の企画・立案、DX・GXの推進などの業務に従事する。報酬は原則市町村が負担し、非常勤職やチームでの派遣も可能である(内容は自治体と協議のうえ決定)。

地域活性化起業人(総務省地域力創造グループ地域自立応援課)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/bunken_kaikaku/02gyosei08_03100070.html

民間企業等のノウハウや知見を活かしながら、地域独自の魅力や価値の向上等を図る制度。三大都市圏に所在する民間企業等の現役社員のうち、2年以上の勤務経験を有する者が半年~3年間にわたり、自治体や行政サービスのDX推進や観光振興等の地域が抱える課題解決に集中的に取り組む。企業にとっては、人材育成や自治体との関係構築などのメリットが期待できる。受け入れ自治体には、派遣元企業への負担金などの経費補填として年間1人当たり560万円を上限に、国から財政措置される。事業の詳細および上限額を超える負担金の負担割合等は、自治体と派遣元企業間の協定書によって定める。

<地方の中小企業等での活躍に向けた施策>

プロフェッショナル人材事業(内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局)
https://www.pro-jinzai.go.jp/about/scheme.html#scheme01

道府県が設置する「プロフェッショナル人材戦略拠点」が中心となり、潜在成長力のある地域の中堅・中小企業を対象に、経営戦略の策定や求人ニーズの把握とあわせて、都市部の大企業人材等のプロフェッショナル人材とのマッチングを支援する制度。常勤のみならず、出向や研修、副業・兼業、転籍など多様な形態での就労が可能であり、期間の制限はない。大企業側が管理するOB・OGであれば、場合によってはマッチング対象とすることも可能である。

地域企業経営人材マッチング促進事業(金融庁監督局総務課人材マッチング推進室)
https://www.fsa.go.jp/policy/chuukai/jinzai/promotion.html

地域での就労を希望する大企業人材の情報プラットフォーム「REVICareer」(レビキャリ)を活用し、地域企業の経営課題解決につながる人材のマッチングを支援する事業。地域金融機関が、地元企業との日ごろからの関係性を活かして求人ニーズを開拓し、大企業人材に対して、常勤・非常勤、出向や研修等の多様な形態での就労を提案する。REVICareerの登録は、現役社員に加え、退職後6カ月以内のOB・OGも可能。大企業人材に対しては、必要なマインド・スキルセットの醸成のための研修等も無償で提供する。受け入れ側の地域企業には採用形態に応じて給付金が支給される(転籍=上限500万円、兼業・副業、出向=上限200万円)。

【産業政策本部】