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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年10月20日 No.3563 部活動改革とAI・データの教育・学習への利活用 -教育・大学改革推進委員会

経団連は9月27日、東京・大手町の経団連会館で教育・大学改革推進委員会(渡邉光一郎委員長、小路明善委員長、橋本雅博委員長)を開催した。スポーツ庁の室伏広治長官から、子どもたちが多様なスポーツに親しむための部活動改革について、また、東京大学大学院情報学環の越塚登教授から、個別最適学習のためのAI・データの教育・学習への利活用について、それぞれ説明を聴くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。

■ 子どもたちが多様なスポーツに親しむための部活動改革(室伏氏)

運動部活動は、長年にわたり、生徒がスポーツに親しむ機会の確保や責任感・連帯感の涵養など大きな役割を果たしてきた。しかし、深刻な少子化が進行するなかで、近年、部活動は持続可能性の面で厳しさを増している。加えて、休日も含めた指導が教師にとって大きな負担となっている。

公立中学校の運動部活動をめぐる厳しい状況を踏まえ、スポーツ庁が設置した有識者会議は、2022年6月に提言を取りまとめた。提言では、まず休日の運動部活動から、段階的に地域へ移行していくこととし、23年度から開始し25年度末を目途に達成することを示した。一方、平日の部活動の地域移行は、できるところから取り組むことが考えられ、地域の実情に応じた休日の地域移行の進捗状況等を検証し、さらなる改革を推進することとした。また、地域におけるスポーツ環境の整備充実に向けて、企業等による地域のスポーツ組織・団体との連携や支援をうたっている。国も、団体の体制整備や指導者の確保、経済的に困窮する家庭の子どもに対する支援等に取り組んでいく。

現在、子どもたちのスポーツ体験について、地域差などさまざまな理由で格差が生じている。その格差の解消に向けて、持続可能で多様なスポーツ環境を地域に整備するとともに、体験型スポーツキャンプ等により多様な体験機会を確保していくことが重要である。産業界には、子どもたちが運動・スポーツする機会を確保するために、さらなる協力をお願いしたい。

■ 個別最適学習のためのAI・データの教育・学習への利活用(越塚氏)

今後、多様な人材の個性を活かし、イノベーションを発揮させることが求められるなかで、各人の特性・学習進度等に応じた個別最適学習が重視されるようになっている。

かかる状況下で、Ed-AI研究会を東京大学エドテック連携研究機構のもとに設置した。同研究会では、AI技術を活用した個別最適学習、すなわちテーラーメード教育の普及と啓発を通じて、個人の適性や学習の進捗に応じた個別最適な教育・学習環境がいつでもどこでも誰でも得られることをビジョンとして示している。具体的には、(1)AI技術を用いた新しい教育手法(2)AI技術を用いた先駆的な教育手法を学校現場に取り入れる方法(3)AI技術を教育に活用するために不可欠な教育データの構成・流通・利活用――といった三つのテーマで研究を進めている。

同研究会は、21年度、教育現場へのデジタル機器導入のより一層の推進など、教育・学習データの利活用に向けた11項目の提言を取りまとめた。この提言のなかでも、まずはクラウド型統合校務支援システムの導入に取り組むべきである。

教育にAIやデータを取り入れることで、個々の生徒の理解具合をリアルタイムで把握することが可能になる。その一方で、教育におけるデータ活用には、データの不足や測定対象・取得条件のばらつきなど課題も山積している。また、教育現場におけるAIの導入について、教育・学習の場面であるフロントエンドに直接導入する方法と、子どもたちに寄り添う教師を支えるためにバックエンドに導入する方法が議論されている。

◇◇◇

懇談終了後、「『次期教育振興基本計画』策定に向けた提言(案)」(10月11日公表)を審議し、了承した。

【SDGs本部】

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