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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年11月17日 No.3567 シモニーテ・リトアニア首相と懇談

シモニーテ首相(左)と佐藤委員長

経団連の佐藤義雄ヨーロッパ地域委員長、清水章同企画部会長は10月26日、都内で、来日中のイングリダ・シモニーテ・リトアニア首相と懇談した。シモニーテ首相の発言概要は次のとおり。

新型コロナウイルス危機を乗り越えようとしていたところ、ロシアがウクライナに侵攻し、世界経済全体に暗い影を落としている。リトアニアは、今般の侵攻以前からロシアへ過度に依存することのリスクを認識していた。特にロシア産エネルギーへの依存度の低減を進めてきており、クライペダ港のLNG貯蔵ターミナルを活用してロシア以外からの調達を拡大した。こうした取り組みもあって、2022年4月には、EU加盟国で初めてロシアからの天然ガス輸入を自ら停止し、ロシア依存から脱することができた。他の欧州各国も、ロシアからのパイプライン経由による天然ガス輸入から、LNGの海上輸入へと切り替えていくことが求められる。統計的には、リトアニアがロシア経済に依存しているようにみえるが、ロシアとの貿易の大部分は、第三国経由の再輸出が占めており、実際の規模はそれほど大きくない。

世界に目を向けると、民主主義と権威主義との溝は深まっており、他国を自国の影響下に置こうとしている国はロシアに限らない。現在、民主主義国が結束してロシアに対応しているように、引き続き団結を強固にしていくことが重要である。リトアニアは、台湾との関係を深めたことから、中国から経済的威圧行為を受けている。これはWTO加盟国として許容できない行動である。政治体制の異なる国への過度な依存は、リスクを伴うと認識すべきである。

リトアニアは、地政学的な観点から、インド太平洋地域との連携強化を進めている。特に民主主義の価値観を共有する日本と、関係を拡充することに期待している。重要なインフラについて、不当な理由で自国の影響を強めようとする国の管理下に置くことはできない。日本をはじめとする信頼できるパートナーとの協力が不可欠と考えており、すでにクライペダ港などでは日本企業と連携を図っている。岸田文雄内閣総理大臣との間で日リトアニア戦略的パートナーシップを締結し、両国間の関係強化に努めたい。特に、「レール・バルティカ」プロジェクト(注)などの交通分野、またエネルギーやデジタルといった共通の課題を有する分野において、日本企業と協働していきたい。食品とハイテク産業の2分野について両国の企業が集う本日(10月26日)のビジネスフォーラムを機に、さまざまな分野で日本との連携が進んでいくことを期待している。

(注)バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)を縦断し、ポーランドへ接続する鉄道プロジェクト

【国際経済本部】

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