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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年11月17日 No.3567 ウォーカー・ジャパン・ソサエティー理事長と懇談 -アメリカ委員会連携強化部会

ウォーカー氏

経団連のアメリカ委員会連携強化部会(豊川由里亜部会長)は10月28日、ジャパン・ソサエティーのジョシュア・W・ウォーカー理事長の来日の機会をとらえ、東京・大手町の経団連会館で懇談会を開催した。ウォーカー理事長による説明の概要は次のとおり。

2週間後に迫った中間選挙では、米国の政治がいかに分断されているか、国内政治が外交戦略にいかに影響を与えるかが明らかになるだろう。今回の中間選挙が、2024年の大統領選の実質的な始まりである。歴史的にみれば、中間選挙では、大統領が誰であっても野党が勝つ傾向にある。今回、その例に従って共和党が勝利するとしても、ポピュリスト派とビジネス界に近い穏健派のどちらが議会の主導権を握るのかは注目に値する。

今回の中間選挙は、連邦だけでなく、州レベル、自治体レベルで、計500以上の選挙が行われる。次世代の国のリーダーは、連邦レベルではなく、州レベルから選出されるのではないかと思う。その意味では、冷戦時代は、大統領選のみに注目していればよかったが、今日では、州レベルの選挙も重要となっている。

日米関係の強化にあたっても、州との関係構築が重要である。州知事は実務的であり、州民へのサービス提供を最優先課題に据えている。経済界は、州への投資を通じて雇用を創出できる点で、州との関係構築に力を発揮できるだろう。

しかし、米国との関係づくりにおいては、韓国や中国の方が上手であり、日本はかなり後れを取っているように感じる。例えば、韓国は、企業、文化、社会などに関して、自国をプロモーションすることで、直近10年間で急速な成長を遂げてきた。実際、10年前、米国で自動車を購入する際には、日本企業の製品が韓国企業のものよりも圧倒的に人気があったが、今や日韓の差は小さくなるばかりである。日本人は、自分のアピールが得意ではなく、欠けているところばかりをみてネガティブに考える傾向にある。日本の米国への直接投資額は7年連続で1位を記録しているが、これを米国で認識している人はほぼいないだろう。日本は米国を重要視していることを戦略的に訴えることが重要である。米国にとって、日本はその戦略的重要性を「頭」で理解する存在であっても、「心」で感じる関係ではない。韓国などの追い上げがあるなか、日本企業はジャパン・ソサエティーのような、現地で日米の懸け橋となる存在を使い、個々人が真の友人として心で感じあえる両国関係を築くことが重要となる。

23年、日本はG7の議長国を務める。権威主義か民主主義かといった二項対立が世界に存在するなか、G7各国に対話のためのテーブルを用意することは、日本が議長国として果たすべき重要な役割であり、世界でリーダーシップを発揮するチャンスである。

【国際経済本部】

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