経団連は1月27日、消費者政策委員会消費者法部会(土屋達朗部会長)を東京・大手町の経団連会館で開催した。消費者庁表示対策課の南雅晴課長から、景品表示法(景表法)改正およびステルスマーケティング(ステマ)(注)規制創設の方向性について説明を聴いた。概要は次のとおり。
■ 景表法改正の方向性
2022年3月から「景品表示法検討会」を開催し、23年1月に報告書を公表した。同報告書では、景表法を次のように見直すことを提案しており、報告書を踏まえた改正法案を今国会に提出する。
(1)確約手続きの導入
近年、景表法違反にかかる端緒件数が増加傾向にあることから、事業者の自主的な取り組みの促進も通じて不当表示事案の早期是正に取り組む必要がある。そこで報告書では、独占禁止法と同様の確約手続きを景表法にも導入すべきとしている。同手続きでは、事業者が消費者庁から違反被疑行為について通知を受けた後、自ら是正計画を策定し、消費者庁からその計画の認定を受けることで、措置命令等を受けることなく調査を終了させることができる。(2)違反行為に対する抑止力の強化
報告書では、一定期間内に繰り返し違反行為を行う事業者に対して、課徴金の算定において割り増した算定率を適用することが提案されている。また、表示と実際に乖離があることを認識しつつ、これを認容して違反を行うという悪質な者に対応できるよう、直罰規定の導入も提案されている。(3)適格消費者団体による開示要請
適格消費者団体が事業者に対して不当表示の差止請求を行うか否かを判断する際の参考とするために、団体が事業者に対して、事業者の営業秘密等に配慮しつつ、表示の根拠となる資料の開示を要請できる規定を設けることが提案された。
■ ステマ規制の方向性
デジタル広告市場が拡大するなか、ステマの問題がより一層顕在化していることを踏まえ、22年9月から「ステルスマーケティングに関する検討会」を開催し、事業者・学識者からのヒアリングも交えながら検討を進め、同年12月に報告書を公表した。
同検討会では、ステマによって事業者間の公正な競争条件が確保されていないことや、一般消費者による自主的かつ合理的な選択が阻害されているおそれがあることを確認した。そこで、わが国でも諸外国と同様に、ステマに対する規制を創設すべきと結論付けた。
報告書では、ステマを規制するため、景表法第5条第3号に基づく告示を新たに指定するとともに、事業者の予見可能性を高めるために運用基準等を策定することが提言された。現在、同提言に基づく告示・運用基準案について意見募集を行っている。
(注)広告であるにもかかわらず、広告であることを隠す行為
【経済基盤本部】