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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年3月30日 No.3585 「インドネシア首都移転に関する懇談会」を開催 -新首都ヌサンタラ開発プロジェクトへの日本企業の参加を期待

経団連は2月28日、東京・大手町の経団連会館で、「インドネシア首都移転に関する懇談会」を開催した。インドネシアのラフマット・ゴーベル国会副議長、ブディ・カリア・スマディ運輸大臣らの基調講演の概要は次のとおり。

ゴーベル国会副議長(右から3人目)、ブディ運輸大臣(同4人目)

■ 目的は格差解消と環境問題克服(ゴーベル国会副議長)

インドネシアは、開発が進むジャワ島・スマトラ島と、カリマンタン島を含む東部に存在する経済格差に加えて、首都ジャカルタの人口過密による大気汚染や騒音といった課題を抱えている。これらの課題を解消するとともに、新たな成長の原動力とするべく、インドネシアは、新首都ヌサンタラをカリマンタン島に建設することとし、2022年1月に、首都移転に関する新法を制定した。新法には首都移転の目的として、安全で近代的、持続可能でレジリエンスを備えた首都の実現が明記されている。環境配慮技術やスマートシティー開発において多数の実績を有する日本企業の参画に期待したい。

■ 低炭素の各種交通・物流システムを導入(ブディ運輸大臣)

低炭素かつ循環型で強靱な先進都市を目指す新首都ヌサンタラの開発は、インドネシア独立100周年の45年に向けた国家ビジョン「Indonesia Vision 2045」に基づいて進められている。運輸・交通においては、最先端の情報通信技術を用いたITS(Intelligent Transport Systems、高度道路交通システム)を実装するほか、BRT(Bus Rapid Transit、バス高速輸送サービス)を導入することで低炭素化を図る。また、港湾都市バリクパパンから新首都に至る全長約163キロメートルを30分で結び、年間440万人が利用する高速鉄道の敷設を計画している。さらに3000メートルの滑走路を備えた空港や、美しいマングローブ林をアピールする観光用桟橋、物流コンテナ港など数多くのインフラ開発が計画されている。これらには莫大な資金が必要である。ジャカルタ高速鉄道や港湾建設など、これまで多くのインドネシアにおけるインフラ開発に参画し、経験豊富な日本企業に協力してほしい。

■ 良好な日尼関係を基盤に積極的な参画を(バスキ公共事業・国民住宅大臣=ディアナ公共事業・国民住宅省人間居住総局長代読)

新首都ヌサンタラは、「Future Smart Forest City」をコンセプトとして掲げている。総建設予算のうち20%を国家予算、残りの80%はPPP(Public Private Partnership)、民間直接投資、ブレンデッドファイナンス(注)などの新たな資金調達スキームで賄う計画である。

新首都の総面積は25万6000ヘクタールである。24年8月17日の独立記念日の新首都への移転開始を目指し、第1フェーズとして、中核となる政府官庁エリア6600ヘクタールの開発が始まっている。新首都移転の法的な透明性・確実性は22年の法制化で保証されており、投資実行上の心配はない。インドネシアと日本は、貿易、投資、文化などさまざまな分野で良好な関係を築いてきた。新首都開発への日本企業の参加を心待ちにしている。

(注)公的な開発資金と、民間の慈善団体等による開発目的の資金を組み合わせたもの

【国際協力本部】

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