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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年4月6日 No.3586 アナログ規制の見直しと第10次粉じん障害防止総合対策 -労働法規委員会労働安全衛生部会ワーキング・グループ

経団連は3月6日、東京・大手町の経団連会館で労働法規委員会労働安全衛生部会ワーキング・グループを開催した。デジタル庁の大澤健参事官から「労働安全衛生分野のアナログ規制の見直し」について、また、厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課の丹藤昌治主任中央じん肺診査医から「第10次粉じん障害防止総合対策」について、それぞれ説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 労働安全衛生分野のアナログ規制の見直し(大澤氏)

大澤氏

2021年11月に発足した「デジタル臨時行政調査会」(デジタル臨調)は、デジタル改革、規制改革、行政改革に関する横断的な課題の検討・実行に取り組んでいる。

デジタル臨調は、構造改革に向けた共通指針「デジタル原則」を21年12月に策定し、法律や政省令、告示、指針等、国が定める規制を対象に、同原則への適合性を点検した。22年12月に目視や定期検査・点検、常駐・専任、往訪閲覧・縦覧等の約1万条項に及ぶ「アナログ規制」の見直し方針や完了時期を明記した「工程表」を確定した。

その工程表のうち、労働安全衛生分野に関する具体例を四つ紹介する。

1点目は、作業主任者の常駐規制の見直しである。作業場に常駐して労働者の指揮等を行う作業主任者について、技術によりその職務を代替できる場合には、常駐義務を課さない取り扱いとする。
2点目は、対面講習のデジタル完結である。安全・衛生に関するさまざまな講習について、申し込みから修了証の発行に至る一連のプロセスがデジタルで完結することを目指す。
3点目は、特定元方事業者(注)による巡視の見直しである。人手による作業場所の巡視に代え、定点カメラやモバイルカメラを用いた遠隔監視での巡視を可能とすることを目指す。
4点目は、労働者への周知方法の多様化である。磁気テープ・磁気ディスク以外の記録媒体やクラウドサービス等への記録・保存が可能な旨を法令上で明確にする。

今後は、工程表に則り、法令改正や解釈の明確化等を通じて規制を見直していく。法改正事項に対応するため、通常国会に「デジタル規制改革推進のための一括法案」を提出する予定である。

■ 第10次粉じん障害防止総合対策(丹藤氏)

丹藤氏

小さな土ほこりや金属の粒を長期間・多量に吸入すると、肺の組織が線維化し、弾力性を失って固くなる「じん肺」を引き起こす。国は、じん肺の防止に向けて「じん肺法」や「粉じん障害防止規則」を制定するとともに、「粉じん障害防止総合対策(労働基準局長通知)」を策定し、労働者のばく露防止や健康管理の実施を推進してきた。その結果、じん肺の有所見者数・有所見率は大幅に減少している。

一方、じん肺の新規有所見者は依然として発生しており、粉じん作業に従事する労働者数も増加傾向にあることを踏まえると、ばく露防止対策の継続が重要な課題である。そこで、23年度から27年度の5カ年を推進期間とする第10次の総合対策の策定を進めている。従来の総合対策と同様、(1)適正な呼吸用保護具の選択・使用(2)ずい道等の建設工事における対策の徹底(3)じん肺健康診断の着実な実施(4)離職後の健康管理の推進――等を盛り込むことを考えている。

今後は、労働政策審議会じん肺部会で案文を報告したのち、各都道府県労働局長宛てに通知を発出する予定である。

(注)建設業と造船業に属する事業を行う元方事業者。元方事業者とは、同一場所で行う事業の仕事の一部を請負人に請け負わせている事業者(数段階の請負関係がある場合には最も先次の請負契約における注文者)をいう

【労働法制本部】

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