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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年4月13日 No.3587 駐中南米地域日本大使との懇談会を開催 -わが国と中南米諸国とのさらなる経済関係の発展を目指す

経団連の中南米地域委員会(加瀬豊委員長)は3月14日、東京・大手町の経団連会館で、中南米地域に駐在する日本大使との懇談会を日本商工会議所・東京商工会議所と共催した。小林麻紀外務省中南米局長および大使から、各国の政治経済情勢および新政権誕生後の現地動向等について説明を聴いた。主な発言概要は次のとおり。

■ 中南米諸国との関係強化に向けて(小林氏)

中南米諸国の多くは自由や民主主義、法の支配といった基本的価値を日本と共有している。また世界有数の鉱物資源や食料の供給源であり、日本にとって重要なパートナーである。中南米各国・地域の外交イベントの機会などを活用して、日本の経済界と共に関係強化に取り組む。あわせて、中南米諸国における日本企業のビジネス活動を支援するため、引き続き、投資関連協定や社会保障協定の締結、二国間クレジット制度(JCM)の構築など、経済界が要望する現地のビジネス環境の整備に関し、政府として取り組むべきことに注力したい。

■ 髙杉優弘 駐コロンビア大使

2022年8月にコロンビア初の左派政権が誕生し、外交よりも内政重視、自由貿易よりも産業保護に動いている。日本との経済連携協定(EPA)交渉に大きな進展はみられず、今後も粘り強い取り組みが求められる。新政権は再生可能エネルギー、気候変動分野に注力している。水素をはじめとするエネルギートランジションについて、日本企業と連携してビジネスチャンスを創出したい。

■ 渋谷和久 駐チリ大使

チリは、ロシアのウクライナ侵略に対して、当初から一貫して非難するなど、中南米の左派政権のなかでも独自の外交を展開しており、日本にとって戦略的なパートナーとして重視すべき国である。また、チリは再生可能エネルギーの宝庫である。特に、リチウムは世界最大級の埋蔵量を誇り、開発の余地は非常に大きい。国家戦略としてグリーン水素、グリーンアンモニアの開発も進めており、日本企業のビジネスチャンスにつながることを期待する。

■ 林禎二 駐ブラジル大使

23年1月に左派のルーラ政権が誕生し、現時点ではバランス重視の現実的な政策がとられている。世界的に環境重視の政策が推進されているなか、ブラジルにおいても農業・鉱物資源等の産業に加え、水素、アンモニア、バイオエタノール、持続可能な航空燃料(SAF)など、新たなグリーンビジネスの可能性は大きい。23年は、日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議、日本ブラジル経済合同委員会のブラジル開催も予定されている。これらを契機に二国間経済関係をさらに活性化していきたい。

■ 宇野健也 駐ベネズエラ臨時代理大使

ベネズエラの経済情勢は非常に厳しい状態が続いている。中南米における左派政権誕生により、ブラジル、コロンビア、ペルー、ホンジュラスといった国々との外交関係は改善したものの、グアイド暫定大統領を支持していた米国、英国、カナダなどは引き続き野党側を支持しており、現政権に対する各国の評価と姿勢は割れている。

■ 片山和之 駐ペルー大使

中南米における日本の相対的地位の低下にもかかわらず、ペルーの日本に対する信頼と期待は非常に強い。これは、日系企業および現地日系人のたゆまぬ努力の賜物だろう。22年、ボルアルテ大統領の辞任や早期総選挙の実施を求める抗議デモが発生したが、現在はほぼ収束している。

■ 福嶌教輝 駐メキシコ大使

現政権は18年12月に誕生した左派政権である。外交では、内政に直結する対米関係に注力している。メキシコは、米中競争、ウクライナ侵略の影響などを受け、米国市場向けニアショアリング(注)の候補地として注目度が高まっている。現在の米中関係が続く限り、対メキシコ投資は増加傾向が続くと見込まれる。電力分野における国の権限強化などもあり、現政権では経済面でのカントリーリスクが上昇傾向にあるが、中長期的な観点から投資が続くことを期待する。

(注)生産拠点を最終消費地に近いところに設置・移転すること

【国際協力本部】

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