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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年4月20日 No.3588 ポリス・コロラド州知事一行と懇談 -アメリカ委員会

ポリス氏(左)と早川委員長

経団連のアメリカ委員会(早川茂委員長、植木義晴委員長)は3月28日、米国コロラド州のジャレッド・ポリス知事一行の来日の機会をとらえ、東京・大手町の経団連会館で懇談会を開催した。同州の政府ならびに研究機関等の関係者、企業経営者ら総勢33人が参加し、活発に意見を交わした。ポリス知事のあいさつと、ミシェル・ハドヴィガー・コロラド州経済開発・国際貿易局グローバルビジネス開発部門ディレクターによる説明の概要は次のとおり。

コロラド州は人口580万人(全米21位)であるが、1人当たりGDPは7万5079ドル(全米9位)と、経済活動が盛んである。全米平均以上の生産性は、主に先端製造業、航空宇宙・防衛機器、エネルギー・天然資源産業に支えられている。起業コストが低いこともあり、スタートアップ起業家の密度で全米1位に、起業に最適な州として全米2位に位置付けられている。航空宇宙・防衛機器の大手サプライヤーの本社を中心に、同分野で400社以上のスタートアップが集積し、強力なエコシステムを形成している。また、石炭、金属、石油・ガスなどの天然資源の採掘産業も盛んである。

ハドヴィガー氏

2040年までに、発電量の100%を再生可能エネルギーによるものとする野心的な目標を掲げている。30年までに、その容量の80%に相当する再エネを確保するめどがすでに立っている。この目標を達成するために、環境正義諮問委員会を設立し、温室効果ガス汚染削減ロードマップ、クリーントラック輸送戦略、低炭素水素開発の機会に関する調査などを策定・実施した。また、地方交通機関への資金提供などを通じて、公共車両のグリーン化にも投資してきた。風力、太陽光、地熱など、米国で最も豊富な天然資源の結節点であり、クリーンテクノロジーとグリーンエコノミーの最前線に立ち続けている。

豊富な天然資源の活用に向けて積極的に投資してきており、風力発電の設置容量で全米7位(5000メガワット超)、太陽光発電の設置容量で全米13位(1000メガワット超)の規模を誇る。さらに、小規模水力発電所を70カ所以上有するとともに、デンバーの首都ビルをはじめ、州内の冷暖房用途として地熱発電を利用している。

同州では、19年1月にゼロエミッション車への移行を支援する行政命令を発出し、30年までに電気自動車(EV)を94万台とする目標を掲げた。充電インフラの整備を加速したことで、22年1月時点で、州内には5万台以上のゼロエミッション車が走行している。さらに、22年8月に成立したインフレ抑制法は、最終組み立て地が北米であるEVのみを補助金支給の対象としている。一方、コロラド州では、製造地にかかわらず州内で販売されるすべてのEVに対して5000ドルの補助金を支給する法案が採択される見込みである。

将来世代のために環境を保護すると同時に、コロラド州の人々に信頼性が高く、低コストのエネルギーを提供することを目的として、政府、産業界、市民が一体となって重要な環境問題に取り組んでいる。世界が気候変動という課題に取り組み続けるなか、コロラド州は、他の国や州に先駆けて難しい課題に取り組んでいる。

持続可能性とクリーンエネルギーの未来をめぐる対話のテーブルに企業がつくことの重要性を強調したい。多くの人々が集まれば、その解決策はより強力で効果的なものになる。これらの分野で日本経済界との連携をさらに強化していきたい。

【国際経済本部】

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