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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年9月7日 No.3604 非市場的政策・慣行や経済的威圧への対応に関するG7・各国の取り組み

田村氏

経団連は7月25日、東京・大手町の経団連会館で、経済産業省通商政策局通商機構部の田村英康参事官から、非市場的政策・慣行や経済的威圧への対応に関するG7の議論ならびに各国の取り組みについて説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ G7首脳声明での非市場的政策・慣行と経済的威圧措置に関する記述

2023年5月に開催されたG7広島サミットでは、全体にかかる首脳声明とは別に「経済的強靭性及び経済安全保障に関する首脳声明」を取りまとめた。ここでは、不透明かつ有害な産業補助金(例=国有銀行を通じた低利子融資、政府系ファンドを用いた株式投資)や国有企業による市場歪曲的な慣行(現地生産要求等)、強制技術移転等の非市場的政策・慣行への懸念を表明し、既存の手段を効果的に用いるとともに、新たなツールの開発やルールの強化で対応する必要性を確認した。また、経済的脆弱性や経済的依存関係を悪用する経済的威圧について深刻な懸念を表明し、すべての国に使用を控えるよう求めたことに加え、協調した対応を強化するための「経済的威圧に対する調整プラットフォーム」を立ち上げた。

また、6月には、日豪加NZ英米の6カ国で「貿易関連の経済的威圧及び非市場主義的政策・慣行に対する共同宣言」を発出した。同宣言では、非市場的政策・慣行が経済的威圧のための手段としても使用されることなどを明記した。

■ 欧米の対抗・対応措置の具体例

欧米は、経済的威圧に対抗するために新たな政策を立案している。

EUは、23年6月に「反威圧措置」規則案に政治合意した。同規則案は、EUまたはEU加盟国に対する第三国からの経済的威圧に対する抑止力として機能するよう設計されている。威圧を伴う第三国に対して、協議等によっても威圧の中止に至らない場合には、最終的な手段として、幅広い対抗措置をEUに提供している。規則案に列挙されている対抗措置は、関税譲許の一時停止や、輸出入等の制限の導入、政府調達からの除外、サービス貿易に影響を与える措置の導入等である。同規則案は、今秋以降に成立する見込みである。

米国は、以前より通商法301条によって外国政府によるWTO等の通商協定違反が認められた場合に関税引き上げ等の措置を講じることができる。加えて、連邦議会の上院において22年7月に「経済的威圧対抗法案」が提出された。同法案は、経済的威圧を受けた貿易パートナー国に対しては輸入品の関税引き下げ・撤廃、関税割り当ての変更等の支援措置を行うとともに、敵対者には輸入品の関税引き上げ等の罰則措置を行うとしている。

今後、各国・地域のこうした動向や、多国間・複数国間での議論を注視しつつ、日本としての対応を経済界と緊密に意見交換しながら検討していきたい。

【国際経済本部】

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