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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年10月12日 No.3608 最近の労働施策の動向 -労働法規委員会

青山氏

経団連は9月13日、東京・大手町の経団連会館で労働法規委員会(冨田哲郎委員長、小路明善委員長、芳井敬一委員長)を開催した。厚生労働省の青山桂子政策立案総括審議官から、労働施策の動向について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 三位一体の労働市場改革の指針

政府は、新しい資本主義実現会議における議論を踏まえ、2023年6月に「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」を閣議決定した。このなかには、成長と分配の好循環の実現などを目指す「三位一体の労働市場改革の指針」が盛り込まれている。

改革の第1の柱は、「リ・スキリングによる能力向上支援」である。今後5年以内をめどに、学び直し支援として、労働者個人への直接給付を拡充していく。加えて、教育訓練給付については、高い賃金やエンプロイアビリティーの向上が期待できるIT等の分野を対象に補助率・補助上限の拡充を検討する。また、在職者によるリスキリングを強化するため、休業よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくなるよう助成率等を見直す。

第2の柱は、「個々の企業の実態に応じた職務給の導入」である。いわゆるジョブ型人事といわれる職務給について、ジョブの整理・くくり方、これらに基づく人材の配置、育成、評価方法等について、年内をめどに多様なモデルを示す。あわせて、中小企業の導入事例を紹介することとしている。

第3の柱は、「労働移動の円滑化」である。自己都合で離職する場合の失業給付について、労働移動の円滑化の観点から要件を緩和する。また、厚労省のモデル就業規則については、「退職金の勤続年数による制限」等の例示が自己都合離職の障壁となっているとの指摘があることから、改正する。このほか、求職・求人に関する情報を官民で共有し、キャリアコンサルタントが労働者のキャリアアップや転職の相談に応じられる体制を整備していく。

■ 仕事と育児・介護の両立支援制度の動向

政府は6月に「こども未来戦略方針」を閣議決定した。同方針では、男性の育児休業取得率の政府目標(民間企業)を25年に50%、30年に85%とすることを掲げるとともに、「男性育休は当たり前」になる社会の実現に向けて官民一体となって取り組むこととしている。

制度面の対応としては、育児・介護休業法等の見直しが盛り込まれている。例えば、子の年齢に応じた両立支援に対するニーズを踏まえて、残業免除措置の対象年齢の引き上げや、子の看護休暇の取得事由の拡大等が提案されている。さらに子が3歳以降の場合において柔軟な働き方を可能とするため、テレワークや始業時刻の変更等の複数の選択肢のなかから事業主が自社にあった措置を用意し、労働者が選べる制度を新設する方向性が示されている。今後、厚労省の労働政策審議会において具体的に検討し、必要な法改正が行われる見通しである。

【労働法制本部】

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