1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2023年12月21日 No.3618
  5. ジャカルタへASEAN政策対話ミッションを派遣

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年12月21日 No.3618 ジャカルタへASEAN政策対話ミッションを派遣 -「日ASEAN友好協力50周年に際してのメッセージ」を発信

左から紀谷大使、原委員長、シン次長、鈴木委員長

経団連(十倉雅和会長)は11月28~29日、インドネシアのジャカルタへASEAN政策対話ミッション(団長=原典之アジア・大洋州地域委員長、副団長=鈴木善久日タイ貿易経済委員長)を派遣した。

2023年、日本とASEANは友好協力50周年の節目を迎えたことから、経団連は、11月14日、日ASEAN関係の一層の強化に向けたメッセージおよび日本企業のASEANにおける主な活動をまとめた事例集を公表した。ミッションでは、同メッセージの発信を目的の一つに、ASEAN本部などを訪問し、意見交換を行った。

■ メッセージに込めた考え方と、今後の重点的な取り組み

メッセージでは、日本にとってASEANは、強固な紐帯で結び付いた一体不可分のパートナーであり、共に発展の道を歩んでいると言及。また、世界の現状について、多くの地球規模課題に直面し、分断傾向を強めているとの認識を示した。そのうえで、日本は長年にわたり構築した信頼をもとにASEANとの関係を深化・発展させていかなければならず、日ASEANがルールに基づく自由で開かれた市場を協創・拡大することで、世界経済を牽引し平和と繁栄に貢献していくとした。

今後の取り組みについて、次の4点を強調。(1)人材交流の促進(採用、プロフェッショナル・職能教育、キャリア形成等)(2)物品・サービスの自由な流通の促進(地域的な包括的経済連携〈RCEP〉協定等、既存のFTAやEPAの着実な履行、関税譲許やルール作りにおける一層高いレベルの自由化・規律を目指す)(3)デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進(デジタル技術やデータの利活用の促進に向け、信頼性のある自由なデータ流通〈DFFT〉やサイバーセキュリティの強化を図る)(4)地球規模課題の解決への貢献(JCM〈Joint Crediting Mechanism, 二国間クレジット制度〉パートナー国・地域の拡大と支援制度を充実させ、利活用を促す。また、カーボンニュートラルとエネルギー安全保障の両立を目指すアジア・ゼロエミッション共同体〈AZEC〉構想をASEANと共に推進する)――を掲げている。

■ ジャカルタにおいて、日ASEANの官民と議論

ASEAN政策対話ミッションでは、ASEAN日本政府代表部の紀谷昌彦大使による最新情勢のブリーフィングに続いて、ASEAN本部、東アジア・アセアン経済研究センター(Economic Research Institute for ASEAN and East Asia, ERIA)、ASEANビジネス諮問評議会(ASEAN-BAC)等を訪問し、今後の日ASEAN連携・協創のあり方、具体的な分野や可能性等をめぐり議論した。

サトヴィンダー・シンASEAN事務次長は、日本はASEANにとって50年にわたる最大のパートナーであることに触れ、「強い日本」に期待を示した。また、次世代を担う人材育成が急務であり、工業分野等における各種能力開発や若手起業家同士の連携等、双方向の人的交流が重要であることを強く訴えた。

ERIAとの会合には、八山幸司COOおよび同機関のリサーチャーが出席。人材交流やヘルスケア、AZEC構想によるカーボンニュートラルへの取り組み等について意見交換した。また、23年8月に発足したERIAデジタルイノベーション・サステナブルエコノミーセンターを視察し、デジタル人材育成のハブとしての機能などについて説明を聴取した。

ASEAN-BACでは、ベルナルディーノ・モニンカ・ベガ議長代行と懇談した。日ASEAN関係の強化に向けて、人材交流の推進における経団連とのさらなる連携に期待が示された。また、中小企業交流やグリーン投資の拡大の重要性を共有した。

【国際協力本部】

「2023年12月21日 No.3618」一覧はこちら