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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年12月21日 No.3618 第50回北陸地方経済懇談会を開催

経団連と北陸経済連合会(北経連、金井豊会長)は11月27日、金沢市内で「第50回北陸地方経済懇談会」を開催した。経団連からは、十倉雅和会長、冨田哲郎審議員会議長、副会長らが、北経連からは金井会長をはじめ会員約130人が参加し、「『スマート・リージョン北陸』を目指して~成長と分配の好循環を実現する」を基本テーマに意見交換した。また、経済懇談会に先立ち開催した昼食懇談会では、和田隆志金沢大学学長から、人口減少下における同大学の取り組みについて説明を聴き、北経連首脳を交えて意見交換した。

経済懇談会の開会あいさつで北経連の金井会長は、あらゆる分野でのデジタル革新が進展した「スマート・リージョン北陸」の実現に向け、現在、「社会基盤整備の促進」「労働生産性の向上と成長」「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」の三つを柱に取り組んでいると説明した。

続いて、十倉会長は、「サステイナブルな資本主義」の実現に向けて、「成長と分配の好循環の実現」を目指すと表明。グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、分厚い中間層の形成、自由で開かれた国際経済秩序の再構築などに取り組むとの決意を示した。

■ テーマ1「社会基盤整備の促進」

まず、北陸新幹線、人流・物流機能の強化、カーボンニュートラル、連接型都市圏の形成に関して、北経連から問題提起があった。

これに対して、経団連から、

  1. (1)大規模災害に負けない持続可能な社会を構築するためには、道路や鉄道の複線化や、港湾・空港の浸水対策などに取り組む必要がある(永野毅副会長)
  2. (2)GXの実現に向け、技術開発や環境整備を通じた再生可能エネルギーの主力電源化や、市況や地政学的リスクに左右されにくい原子力の活用が重要である(泉澤清次副会長)
  3. (3)北陸新幹線を活用した連接型都市圏の形成は、「内発型の地域づくり」の先進事例として期待している。また、2025年日本国際博覧会の全国的な機運醸成への協力をお願いする(永井浩二副会長)
  4. (4)人手不足への解決策として、AI・ロボット・IoT等のデジタル技術を組み込み、省人化を図る構造へと社会を変革することが必要不可欠である(澤田純副会長)

――との発言があった。

■ テーマ2「労働生産性の向上と成長」

次に、新規事業の創出、人材育成、広域観光について、北経連から問題提起があった。

これに対して、経団連から、

  1. (1)DX推進の中核を担うべき存在である企業は、「先ず隗より始めよ」という精神で、新たな価値創造に向けてデータの連携・利活用を進めるべき(遠藤信博副会長)
  2. (2)バイオトランスフォーメーション(BX)をいち早く実現し、バイオ産業をわが国の成長を牽引する基幹産業に位置付けることが重要である(小堀秀毅副会長)
  3. (3)観光業の持続可能な発展のためには、DXにより生産性を高め、その分人の手でしか行えないサービス等を向上させることで、質を重視した観光に転換すべき(菰田正信副会長)
  4. (4)農業の担い手不足が顕著になるなかで、生産性を維持・向上させるためには、ICTやロボット、AI等の先端技術を用いた効率的な農業への転換が不可欠である(佐藤康博副会長)
  5. (5)デジタル化や気候変動対応など、わが国産業をめぐる環境の変化に適切に対応していくためには、変化に対応できていない規制や制度を不断に見直すべき(筒井義信副会長)

――との発言があった。

■ テーマ3「ダイバーシティ&インクルージョンの促進」

続いて、女性・外国人材の活躍、働き方改革について、北経連から問題提起があった。

これに対して、経団連から、

  1. (1)専門人材の採用に苦労している中小企業が、事業上の課題を解決するために副業・兼業で外部の専門人材を受け入れることは、人手不足対策にもなる(小路明善副会長)
  2. (2)ダイバーシティ&インクルージョンの推進には、「意思決定プロセスへの女性の参画」「LGBTQへの理解増進」「意識改革・行動変容」が重要となる(藤原清明専務理事)

――との発言があった。

最後に、冨田審議員会議長が「さまざまな指摘のあった労働生産性向上は、北陸地方も含めた日本経済全体の課題である。技術革新などに向けた国内投資の拡大や、働く人のエンゲージメントの向上が重要となる」と総括した。

◇◇◇

志賀原子力発電所を視察

翌28日、一行は石川県・志賀町の北陸電力志賀原子力発電所を視察。緊急時対策棟および2号機原子炉建屋を見学し、安全性確保などの取り組みについて説明を聴いた。

【総務本部】

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