経団連は2月27日、東京・大手町の経団連会館で南アジア地域委員会企画部会(松木俊哉部会長)を開催した。ブランズウィック・グループのコゼム・マーチャント インドオフィス代表・パートナーをはじめ、コンサルタント、税務・法務の専門家ら7人から、インドへの投資を成功させるための方策等について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ インドへの投資の一般的慣行
コロナ禍を経て、世界の企業がサプライチェーンの再構築を迫られるなか、インドへの注目が高まっている。インドは巨大な成長市場であり、日本企業にとって対インド投資は、重要な成長戦略の一部であるといえる。他方、文化的な障壁や法制度の違いによるリスクも存在している。
日本からインドへの投資は、インドの商慣習などに精通する現地パートナーとジョイントベンチャーを設立する形が一般的である。また、M&Aについては、インドのビジネス慣行はもちろん、特有の法律や税制を十分に理解することが求められる。株式取得では、フォレンジック調査(不正調査)を通じたデジタル機器の解析が必要である。また、株式譲渡契約上の表明保証と補償条項の確認、各種保険によるリスク補償や、撤退時の条件の検討等を十分に行うべきである。
■ M&A後のオペレーションを成功させるために
M&Aの完了後、当該企業のオペレーションを成功させるためには、インド特有の政治的・法的・社会的課題に精通したアドバイザー等の活用が求められる。また、中央政府、地方政府のそれぞれに複層的な対応を実施するとともに、地元メディアと緊密な関係を構築するなど、現地のマルチ・ステークホルダーとの積極的な対話(エンゲージメント)が不可欠である。日本企業には、現地有識者をうまく活用しつつも任せきりにはしないよう、実態を考慮して判断できる適切な人材を現地に派遣することを検討してほしい。
米国や英国は、インドとの良好な二国間関係をビジネスでも大いに役立てている。インドの戦略的パートナーである日本もまた同様に、強固な二国間関係をビジネスにおいて有効に活用すべきである。
【国際協力本部】