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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年5月23日 No.3637 採用と大学教育の未来に関する産学協議会第8回会合を開催 -2023年度報告書を公表

経団連(十倉雅和会長)と国公私立大学のトップから成る「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」(座長=十倉経団連会長、大野英男就職問題懇談会座長)は4月23日、第8回会合を開催した。同会合では、2023年度における検討内容を報告書「産学連携による高度専門人材育成と、未来志向の採用を目指して」として取りまとめ、同日公表した。

産学協議会では、23年度、「博士(前期・後期)課程の人材の活躍と大学院教育の充実」を掲げ、課題や推進方策等について検討を深めた。また、多様な要素を考慮しながら、人材力を含む日本の国力向上の観点から、今後のわが国における就職・採用活動のあり方について、産学間で本質的な対話を行った。加えて、質の高いインターンシップを核とした「学生のキャリア形成支援活動(4類型)」の普及・定着のフォローアップに取り組んだ。報告書のポイントは次のとおり。

■ 博士(前期・後期)課程の人材の活躍と大学院教育の充実

人口減少による急速な少子高齢化の進展や山積する社会課題といった状況のなかで、経済社会の発展に寄与するイノベーションを創出し、国際競争力の維持・向上を図っていくためには、博士人材を含む高度専門人材の活躍推進が不可欠である。

産学官連携による高度専門人材の育成に向けて、経団連では24年2月に、産業界の実態を把握しつつ、博士人材の育成・活躍に関する本格的な提言を取りまとめた。そこで、産学協議会では、高度専門人材の育成機能を担う大学院教育にも焦点を当てつつ、「大学院進学者の増加と企業への就職促進」と「企業人の修士号・博士号取得の促進」の両面から検討した。

その成果として、(1)博士人材に対する経済的支援の拡充(2)大学院教育の充実(3)採用選考における改善(4)企業・大学間の人材流動性の向上(行き来の活性化)――の四つの観点から、企業、大学、政府に求められる取り組み・施策を整理したうえで、「卓越大学院プログラム」をはじめとした質の高い大学院教育プログラムの企業向けPRの強化、ジョブ型研究インターンシップへの参画促進に向けた制度改善等を提案した。

■ 質の高いインターンシップの推進状況

23年度から本格実施している「質の高いインターンシップ(タイプ3)」の実施状況について、経団連全会員企業を対象にアンケートを行ったところ、23年の夏休みまでにタイプ3を実施した企業は116社に上り、大企業・理系を中心に138件の個別事例が寄せられた。実施企業から指摘されたプラスの効果や課題等について24年度に深掘りし、必要に応じて改善を図っていく。

■ 30年に向けた採用のあり方(経過報告)

昨今の環境変化を踏まえ、「30年の採用・雇用・大学教育の姿」について共通認識を醸成したうえで、「採用のあり方」について議論することを対話の基本方針とした。

23年度は、新卒一括採用からの採用活動の複線化、採用日程ルールの形骸化による現場の混乱といった現状等を踏まえつつ、(1)検討にあたり考慮すべき背景(2)目指す方向性(3)取り組むべき課題(4)実現に向けて産学で取り組むこと――について、産学間で意識合わせを行った。

その結果、「様々な選択に対応可能な採用の実現」をキーフレーズとして、各主体が望むタイミングで、多様なチャンス・選択肢に挑戦できるよう、多様な選択肢の共存について、引き続き検討を深めていくこととした。また、(1)就職・採用活動の早期化と長期化(2)新卒採用日程ルール(3)卒後の就職活動――の3点に議論が集中した一方で、学部低学年次、さらには中学生・高校生の段階から産学連携によるキャリア教育に取り組むことの重要性については、産学双方から多くの賛同が得られた。

産学の間で隔たりの大きい論点がいまだ残されており、24年度中に一定の結論を得ることを目指して、対話を継続していく。

【SDGs本部】

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