経団連(十倉雅和会長)は5月31日、東京・大手町の経団連会館で定時総会を開催した。会員代表者をはじめとする約300人が会場で出席したほか、約150人がウェビナーで総会の模様を視聴した。
総会では、新体制を決定し、副会長として新たに日本郵船の長澤仁志会長、三井住友銀行の髙島誠会長、住友商事の兵頭誠之会長、ソニーグループの吉田憲一郎会長の4人が選任された。また、2023年度事業報告および決算が報告されたほか、2024年度事業方針および収支予算を承認した。
来賓として、岸田文雄内閣総理大臣に加え、鈴木俊一財務大臣、武見敬三厚生労働大臣、齋藤健経済産業大臣、新藤義孝内閣府特命担当大臣が会場であいさつした。
岸田首相は、あいさつの冒頭、賃上げや設備投資を挙げ、日本経済の力強い動きは、世界を刮目させるものとなっているとの見方を示したうえで、気候変動対策やデジタル経済への移行といった政策課題に加え、25年度の開催が迫る日本国際博覧会(大阪・関西万博)についても、官民連携のもと、取り組みを進めていくと述べた。
また、緊迫する国際情勢を念頭に、先般の訪米や日中韓サミットに触れ、主要国との幅広い分野での協力を確認し、緊張感を持って外交・安全保障政策に取り組んでいくと述べた。
経済分野については、デフレマインドを払拭し、社会全体の意識を変えていくべく、グリーントランスフォーメーション(GX)やAIなどを例として、大きな変化に即応できる環境整備を官と民が力を合わせ進めていくとした。
さらに、政治改革については、政治資金に関する厳格な責任体制の確立と、政治資金規正法の改正に向けて全力で対応していくとの決意を示した(全文別掲)。
■ 十倉会長あいさつ
十倉会長はあいさつにおいて、「日本経済は継続的な賃金引上げのモメンタム、投資の拡大などに支えられ、成長への着実な歩みを進めている」と指摘。そのうえで、24年はこの流れを加速させ、30年来のデフレからの完全脱却を実現する、歴史的な年にすべく、「デフレからの脱却」と「成長と分配の好循環の実現」に向けて、さまざまな活動を展開していくとの決意を述べた。
具体的には、構造的な賃金引上げの実現に向けて、中小企業の賃金引上げと環境整備を進めるべく、「企業行動憲章」を改定し、「『パートナーシップ構築宣言』に基づき、サプライチェーン全体の共存共栄を図る」との文言を盛り込んだ旨を周知するとともに、会員への一層の協力を呼びかけた。
また、国際的な人材獲得競争に伍していくため、「外国人政策委員会」の新設を通じて、専門性や技能を持つ外国人材の戦略的な誘致を推進していくとした。
加えて、人口減少・少子高齢化など、わが国が抱える問題へ対応すべく、高齢者数がピークを迎える40年をめどに、「Future Design 2040」(仮称)として、目指すべき経済社会の姿を示すと述べた。
さらに、25年、大阪・関西万博が開催予定であることに触れ、入場券の購入や、機運醸成に向けた協力を呼びかけた(全文別掲)。
【総務本部】
岸田首相来賓あいさつ
-官と民が力を合わせ、日本経済を新たなステージに移行させていく
十倉会長総会あいさつ
-今こそデフレから完全脱却し、成長と分配の好循環を実現する
定時総会記念パーティーを開催
-立食形式にて500人超が歓談