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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年9月26日 No.3652 WTO、CERN、ITERを訪問 -「貿易投資立国」「科学技術立国」の実現に向けて

経団連の十倉雅和会長は8月26~29日、スイスのジュネーブとフランスのサン・ポール・レ・デュランスへ赴き、自由貿易の番人である世界貿易機関(WTO)、世界最高水準の研究機関である欧州原子核研究機構(CERN)、国際的な核融合実験炉のITERを訪問した。ITERには、泉澤清次副会長、兵頭誠之副会長、出雲充スタートアップ委員長も参加。久保田政一副会長・事務総長は全行程に同行した。概要は次のとおり。

バラバスキ機構長(左から4人目)

■ WTO

WTOは物品やサービスの貿易に関し、多国間のルールを決める機関である。貿易に関するルール作り、問題が生じた場合の紛争解決、各国のルールの履行状況を監視するモニタリングの三つの機能を通じて貿易の自由化に貢献してきたが、現在は困難に直面している。

現地で面会したアンジェラ・エラード事務局次長とは、こうした困難を一足飛びに解決するのは難しいとの認識で一致した。一方で、全加盟国の合意が難しいなかでも、有志国による取り組みである共同声明イニシアティブのように、物事を進めようと努力していることが確認できた。

■ CERN

CERNは素粒子物理学に関する世界的な研究機関である。地下100メートルに設置された全長27キロメートルの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を用いて、高速で陽子同士を衝突させ、衝突で生じた粒子を測定することにより宇宙の歴史や物理法則を研究している。

現地では、ファビオラ・ジャノッティ所長ほか幹部らと面会した。LHCをはじめとする実験装置とあわせて、CERNがスタートアップ支援や若手研究者の受け入れ等を通じて、関連産業や人材育成でも社会に貢献していることについて、説明を聴いた。

■ ITER

ITERは、核融合発電の科学的・技術的な実現可能性を実証するための取り組みである。2035年の核融合運転開始に向け、世界7極(日本、欧州、米国、韓国、中国、ロシア、インド)が、さまざまな課題に直面しながら建設を進めている。核融合発電は、燃料やその原料が海水に含まれるため世界中で手に入れることができ、かつ高レベル廃棄物や二酸化炭素を出さない発電方法であることから、エネルギー・環境問題の解決に貢献できる技術である。各国は現在、ITERで協力する一方で、自国への技術の囲い込みを開始している。

現地では、ITER計画最難関の一つといわれたトロイダル磁場コイルをはじめ、わが国の技術が随所で貢献している。ピエトロ・バラバスキ機構長からは、日本企業のITERに対するこれまでの貢献への謝意と今後の連携強化に向けた高い期待が示された。

◇◇◇

わが国には「人口減少・少子高齢化」「資源を持たない島国」という二つの制約条件があるため、「貿易投資立国」「科学技術立国」を目指す必要がある。経団連は今般、貿易や科学技術に関する機関を訪問したことによって得た知見を基に、「Future Design 2040」のなかでわが国が目指すべき姿とそこへの道筋を示していく。

【国際経済本部】

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