経団連は9月10日、東京・大手町の経団連会館でジョブ型人事説明会を開催した。同説明会は、政府が8月28日に「ジョブ型人事指針」(指針)(注)を公表したことを受け、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局の協力のもと、ジョブ型人事の導入を検討する企業の参考に資するべく企画・開催した。
淡輪敏雇用政策委員長の開催あいさつに続いて、岸田文雄内閣総理大臣から寄せられたビデオメッセージを放映。岸田首相は、「キャリアは会社から与えられるものから、一人ひとりが自ら選択する時代となってきた」と指摘。働き手が自分の意志でリスキリングを行い、職務を選択できる制度に移行していくことの重要性を強調した。そのためにもジョブ型人事の導入を進めていく必要があるとしたうえで、「指針も参考にして、それぞれの企業において自社のスタイルに合った導入方法を検討してもらいたい」と呼びかけた。
次に、内閣官房新しい資本主義実現本部の新原浩朗事務局長代理が、政府が推進している労働市場改革の趣旨について解説した後、富士通の時田隆仁社長が「パーパス実現に向けたジョブ型人材マネジメントへの転換」と題して講演した。時田氏は、自社のパーパス実現のため、全方位で社内変革を図る必要があり、「人材」が柱の一つになると指摘。そのうえで、組織設計を「適材適所」から「適所適材」へ、評価・報酬基準を「人ベース」から「職責(ジョブ)ベース」へ移行することなどを含むジョブ型人材マネジメントへのフルモデルチェンジを断行した経緯等を説明した。さらに、社内ポスティングによる応募・異動者数が大きく増加するなど、社員のキャリア形成に行動変容がみられるといったジョブ型人材マネジメント導入の成果を紹介した。
続いて行われた企業事例紹介では、オムロン、KDDI、ソニーグループ、テルモ、レゾナック・ホールディングスの5社の人事責任者が、制度導入の目的や経緯、制度の概要、今後の課題等について説明した後、参加者との活発な質疑応答を行った。
【労働政策本部】