1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2025年5月15日 No.3682
  5. フリーデン・ルクセンブルク首相と懇談

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年5月15日 No.3682 フリーデン・ルクセンブルク首相と懇談

フリーデン首相(左)と東原副会長

経団連(十倉雅和会長)の東原敏昭副会長・ヨーロッパ地域委員長、齋藤洋二同企画部会長は4月24日、東京・大手町の経団連会館で、ルクセンブルクのリュック・フリーデン首相と懇談した。フリーデン首相の発言概要は次のとおり。

日本とルクセンブルクは国の大きさは異なり、遠く離れているものの、政治的・経済的に共通の価値を重視しており、ルールにのっとって行動すべきとの考え方を共有している。このため首相就任後、欧州以外の初の訪問先として日本を選んだ。しかし現在、ルールに基づく自由で開かれた国際秩序は危機にさらされている。ロシアのウクライナ侵略は、ルールを尊重しなければ何が起きるかを示している。

経済面でも、ルールにのっとることが重要である。私は首相就任前には経済界にいたので、企業が競争力を確保するために、政治的安定性と予見可能性を確保することが必要なことを理解している。

EUの一員としては、単一市場の開放性を維持し、自由で開かれた貿易投資環境を維持することが必要と思う。EUは自由貿易協定(FTA)を通じてビジネスの障害を取り除き、ルールにのっとって活動できるように取り組んでいる。

米国の関税措置については、一方的な措置は受け入れられないとのメッセージを伝える必要がある。一方、世界貿易機関(WTO)をはじめとするマルチのルールは、米国のみならず中国からも十分に守られていない状況にある。ただし、さまざまな国際機関は第2次世界大戦後に設立されており、見直すべき点があるのは確かである。これまで取り残されてきたアフリカ等のグローバルサウスを包摂していくことは必要ではある。

ルクセンブルク政府は、外国企業に対してもビジネスフレンドリーな環境を提供している。外国人労働者に関する規制が複雑化しているため、その簡素化にも取り組んでいる。ルクセンブルクをEU単一市場におけるハブとして捉えてほしい。

日本とは、伝統的に強みを持つ金融サービスのほか、宇宙分野で具体的な協力が進んでいることを歓迎している。特に、各国が防衛費の増額を掲げ、防衛の観点から宇宙の重要性が増すなか、防衛分野において日本との経済協力が拡大することを期待している。さらに、AIに関しても日本と協力できる余地がある。AIの利活用を進めるには多くのデータが必要となるが、わが国ではデータのインフラを整備している。

近い将来、日本経済界によるルクセンブルク訪問を期待している。

【国際経済本部】

「2025年5月15日 No.3682」一覧はこちら