
石破首相(中央)と、筒井会長(右)、小路副会長
経団連(筒井義信会長)は7月24、25の両日、長野県軽井沢町で、「夏季フォーラム2025」(議長=小路明善副会長)を開催した。筒井会長、冨田哲郎審議員会議長をはじめ、副会長、審議員会副議長ら計43人が参加。「人口減少下でも輝く日本経済・社会の未来図」を統一テーマに議論し、「持続的な価値創造が導く日本経済・社会の未来図~経団連夏季フォーラム2025総括」を採択した。
1日目の開会式で筒井会長は、「戦後営々と築かれてきた国際秩序が大きく揺らいでおり、世界は大きな転換点を迎えている。国内では、少子高齢化・人口減少をはじめとする構造的かつ複雑な課題が山積している」との認識を示した。
そのうえで、「『FUTURE DESIGN 2040』(FD2040)で掲げた目指すべき未来社会を実現するため、『科学技術立国』と『貿易・投資立国』による成長、公平・公正で持続可能な社会、国際社会から信頼され選ばれる国家に向けた道筋を描くことが重要」と指摘。
「われわれ企業こそが未来を切り開くフロントランナーであるべしとの覚悟を共有し、内外に正々堂々と示していく」との決意を述べた。
1日目の第1セッションでは、大和総研の熊谷亮丸副社長兼副理事長が「人口減少下での日本経済の持続的成長への道筋」と題して講演した。
第2セッションでは、Sakana AIのデイビッド・ハCEOならびに伊藤錬COOが「AI技術革新の最前線」と題して講演した。
2日目の第3セッションでは、国際文化会館の船橋洋一グローバル・カウンシル チェアマンが「『アメリカの世紀』から『アメリカ・ファーストの世紀』へ~その地政学的かつ地経学的輪郭は何か」と題して講演した。いずれのセッションも講演後は、講師を交えながら活発な意見交換が行われた。
第4セッションでは四つの分科会を実施。それぞれ、「『科学技術立国』の実現への道筋」(座長=澤田純副会長)、「『貿易・投資立国』の実現」(座長=吉田憲一郎副会長)、「外国人材から選ばれる国となるために」(座長=永野毅副会長)、「付加価値労働生産性向上に資する多様な人材活躍推進」(座長=野田由美子副会長)――をテーマに白熱した討議が行われた。
第5セッションでは、分科会での討議に関する各分科会座長からの報告に基づき、参加者全員で議論した。その後、「夏季フォーラム2025総括」を採択した。
特別セッションでは、石破茂内閣総理大臣が講演した。
同月23日に合意に至った日米関税交渉に関し、自動車・自動車部品については「既存の税率を含めて関税は15%」と世界に先駆けて数量制限のない関税引き下げを実現した点や、相互関税についても日本の関税率を15%にとどめた点などの成果を強調。対米投資促進等を通じた今後の新しい日米関係実現への期待を表明した。
経済面を含む安全保障・外交、付加価値創出型経済への移行、地方創生、税・財政・社会保障の一体改革等の重要政策の推進にも強い意欲を示した。
閉会に当たり、筒井会長と小路副会長が石破首相に総括を手交した。
夏季フォーラムの詳細は、月刊経団連9月号の特集で紹介する。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】