宮武氏
森田氏
経団連の農業活性化委員会(小川啓之委員長、木原正裕委員長、磯崎功典委員長)は10月20日、東京・大手町の経団連会館で、九州経済連合会(九経連)の地域共創委員会(池内比呂子委員長)と「農業×企業 タイアップセミナー」を共催した。
同セミナーは、九州地方の活性化や農業への多様な産業の参入を推進する観点から、2013年から開催している。
開会あいさつで小川委員長は「国内のあらゆる産業で人手不足が顕著となるなか、農業も例外ではなく、個人・法人を問わず新規参入の促進が大きな課題」と指摘。「大企業はもとより、先端技術の活用等に大きな可能性を有するベンチャーやスタートアップ等、さまざまな業種・業態の企業を幅広く巻き込むことが極めて重要」と述べた。
基調講演では、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)企画戦略本部の宮武恭一部長が、企業の農業参入による耕作放棄地対策モデルについて説明した。
九経連会員企業ほか、耕作放棄地対策に取り組む先進的企業を対象に、(1)農業参入の経緯(2)参入時の主な障壁や課題(3)成功要因に関する調査結果――を報告。「企業トップの地域貢献に対する強い理念と、労働生産性向上や販路開拓に向けたイノベーションが地域にヒト・モノ・カネを呼び込み、耕作放棄地の解消、地元の雇用や新産業の創出にも寄与している」とし、同モデルのさらなる精緻化が今後の課題と述べた。
佐賀・熊本・大分・宮崎の4県の担当者は、企業の農業参入事例や参入時の支援体制等を紹介するとともに、各県の魅力をアピールした。
事例講演では、畜産飼料を生産している南州エコプロジェクトの森田俊彦社長が登壇。鹿児島県垂水市の耕作放棄地の集約化や荒廃農地の再生、飼料作物の生産に向けた具体的な取り組み等を紹介した。
九経連地域共創委員会の佐藤清一郎副委員長は、福岡県筑後地域の情報交換会「筑後アグリネットワーク」の取り組みを説明した。
九経連事務局は、農研機構との共同研究や、援農マッチングアプリを活用した副業・ボランティアによる農業労働力支援、地域商社と連携した農林水産物・食品の輸出拡大に向けた取り組みなど、農業活性化に向けた九経連の活動を紹介した。
この他、会場に設けた九州各県のブースで、プレゼンテーションと交流会を開催。各地の特産品を囲み、企業参加者、登壇者、各県の担当者による活発な意見交換が行われた。
交流会の模様
【産業政策本部】
