あいさつする筒井会長
DIVERSを視察
経団連(筒井義信会長)と中部経済連合会(中経連、勝野哲会長)、東海商工会議所連合会(東海連、嶋尾正会長)は2月20日、名古屋市内で東海地域経済懇談会を開催した。経団連からは筒井会長、冨田哲郎審議員会議長、副会長らが、東海側は中経連の勝野会長、東海連の嶋尾会長をはじめ約200人が参加し、「投資牽引型経済への転換を目指して」を基本テーマに意見交換した。
同日、経済懇談会に先立ち、日本ガイシのオープンイノベーション推進施設「DIVERS」を視察し、同社のイノベーションに向けた取り組みを聴いた。
視察後の昼食懇談会では、豊橋技術科学大学の若原昭浩学長から、半導体を核とする次世代産業振興について説明を聴くとともに、東海連側首脳を交えて意見交換した。
経済懇談会の開会あいさつで東海連の嶋尾会長は、東海地域の課題として、中小企業の生産性向上と価格転嫁、賃金引き上げの継続、地域の活性化の重要性を指摘。インフラ整備や国際イベントの開催等を通じ、地域における持続的な需要創出につなげていきたいと述べた。
続いて筒井会長があいさつ。わが国経済を取り巻くさまざまなリスクに対して強靭な経済社会を構築するためには、企業による設備投資、研究開発投資、人的投資がカギを握ると強調した。そのうえで「投資牽引型経済を確立し、将来世代への責任を果たしていく」と決意を示した。
■ 産業競争力の強化
スタートアップ育成、オープンイノベーションの促進等に関し、中経連と東海連から問題提起があった。
これに対して経団連から、
- (1)東海地域では「ナゴヤ イノベーターズ ガレージ」「なごのキャンパス」「STATION Ai」等のスタートアップ振興に向けた先進的な取り組みが盛んであり、心強く感じる(木原正裕副会長)
- (2)イノベーションの創出には、単独では難しい新たな価値を、異分野・異業種との共創により創出する視点が不可欠。中部圏の取り組みはこの視点を踏まえており、引き続き連携していきたい(佐藤恒治副会長)
- (3)国際標準や認証等によるルール形成は、産業競争力の向上に資する有効なツール。経営者自らがその重要性を認識し、経営戦略の中心に位置付ける行動変容が不可欠(遠藤信博副会長)
- (4)グリーントランスフォーメーション(GX)は産業競争力強化に欠かせない。「資源の乏しい島国」という日本の特徴を踏まえつつ、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想の具体化を加速させ、関係者一体で脱炭素化を進めるべき(兵頭誠之副会長)
- (5)わが国の持続的な成長に向け、経営のマインドセットを投資牽引型に転換することが求められる。今後のコーポレートガバナンスは、中長期的な価値創造に向けた取り組みを促進する視点が必要(髙島誠副会長)
- (6)生産性の改善・向上、賃金上昇の機運醸成と定着、適正な価格転嫁の認識の共有により、賃金引き上げの原資を安定的に確保し、賃金引き上げの力強いモメンタムをさらに定着させることが重要(久保田政一副会長・事務総長)
――との発言があった。
■ 活力ある地域づくり
次に、観光客誘致、官民連携による地域づくり、社会資本整備に関し、中経連と東海連から問題提起があった。
これに対して経団連から、
- (1)多様なステークホルダーによる主体的な取り組みに加え、人口減少下では、広域連携が地域経済活性化のカギ。中部圏でも、観光や社会資本整備等に関し、広域連携のさらなる推進を期待する(永井浩二副会長)
- (2)急速なインバウンドの拡大を背景に、観光の持続可能性が問われるなか、人材の確保・育成、オーバーツーリズムへの対応、地域分散・地方誘客が重要(野田由美子副会長)
- (3)社会資本整備について、防災・社会基盤強化の観点から、効率的かつ安全なインフラ整備と人材の確保、技術継承を進めるとともに、災害を平時から「自分ごと」として捉える必要がある(永野毅副会長)
- (4)SDGsの取り組みは地域づくりでも重要。企業のサステナビリティ経営の実践は、企業自身の成長と地域の持続可能な発展を同時に実現する取り組みだ(亀澤宏規副会長)
- (5)2027年3月から、横浜市で2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)が開催される。「幸せを創る明日の風景」をテーマとした国家的イベントであり、観光立国や地方創生の推進にもつなげるべく、各地で盛り上げたい(泉澤清次副会長)
――との発言があった。
◇◇◇
冨田審議員会議長は、多様な産業や研究開発機能の集積といった地域の特色を生かし、観光や産業の振興、オープンイノベーション、インフラ整備等を進める東海地域の取り組みは、地域づくりの先進的な事例となり得ると総括した。
閉会あいさつで中経連の勝野会長は、中部地域が競争力を有する「ものづくり」をベースに、デジタル、デザイン、アート、スタートアップといった新しい力を掛け合わせ、産業の多様化・クラスターの形成を図っていきたい、と締めくくった。
【総務本部】
