あいさつする筒井会長
経団連(筒井義信会長)と九州経済連合会(九経連、池辺和弘会長)は3月12日、福岡市内で「第76回九州経済懇談会」を開催した。経団連からは筒井会長、副会長らが、九経連からは池辺会長をはじめ約200人が参加し、「広域連携で切り拓く九州地域の未来戦略~九州から日本を動かす」を基本テーマに意見交換した。
開会あいさつで九経連の池辺会長は、九経連会長に就任して以来、半導体や農業、観光、交通、教育など、さまざまな分野の課題解決を通じて九州を元気にすべく活動を展開していると言及。いずれも九州という広域で連携して進めており、経団連が提唱する「新たな道州圏域構想」の取り組みを具現化するものだと述べた。
続いて筒井会長があいさつ。内外情勢に不確実性や不透明感が存在する今こそ、わが国はさまざまなリスクに耐え得る強靭な経済社会を構築する必要があり、そのカギを握るのは企業による国内投資だと指摘。九経連との連携を密にしながら、企業がフロントランナーとなって「投資牽引型経済」を確立し、将来世代への責任を果たしていくと述べた。
■ 基本テーマ「広域連携で切り拓く九州地域の未来戦略~九州から日本を動かす」
九州における広域連携の取り組みなどについて、九経連から問題提起があった。
これに対して経団連の永井浩二副会長は「九州地域では『九州地域戦略会議』を中心に、多様なステークホルダーが一丸となって産業競争力の強化、観光、スタートアップの育成等を推進する取り組みが進んでいる。これらは広域連携による地域経済活性化の先進事例といえ、今後のさらなる発展に期待している」と発言した。
■ 個別テーマ1「多様な価値を生み出す九州発の取り組み」
「新生シリコンアイランド九州」の実現に向けた取り組み、産学官連携によるスタートアップの育成支援、日本の食料安全保障と九州の第1次産業の重要性――などに関して九経連から問題提起があった。
これに対して経団連から、
- (1)新生シリコンアイランド九州の実現に向けた取り組みは、九州のみならず、わが国全体の産業基盤強化の観点からも極めて重要。経団連も、ロボット(AI+)戦略提言をはじめ、AI・半導体分野の競争力強化に向けて、関係方面への働きかけを一層強化していく(吉田憲一郎副会長)
- (2)九州では、「九州・大学発ベンチャー振興会議」や、九州・沖縄の20大学が一体となったコンソーシアム「PARKS」のもとで起業支援等が行われているほか、2025年10月には経団連と九経連の共催でピッチイベント「KIX-Regional」を開催するなど、精力的な取り組みが展開されており、心強く思う(亀澤宏規副会長)
- (3)次世代にとって農業を魅力ある選択肢とするためには、農業の成長産業化が欠かせない。経団連では、毎年、九経連と共に、農業と企業のタイアップを図るセミナーを共催し、企業参入の機運醸成と好事例の展開に向けた取り組みを進めている(兵頭誠之副会長)
- (4)国際標準や認証等によるルール形成は、産業競争力の向上に資する有効なツールだ。企業では経営者自らがその重要性を認識し、経営戦略の中心に位置付ける行動変容が不可欠。グローバル市場の創出に向けた国際標準の活用のあり方に関し、九経連の知見を参考にしたい(遠藤信博副会長)
- (5)25年度、経団連は科学技術立国の実現に向け、政府に規制改革要望を提言し、要望事項の約半数に前向きな進展が見られた。26年度は、高市政権が掲げる「危機管理投資・成長投資」を念頭に、要望を募集する予定。九経連会員も九経連を通じて要望の提出が可能であり、検討してほしい(時田隆仁副会長)
――との発言があった。
■ 個別テーマ2「九州の地方創生を支える基盤の整備に向けて」
持続可能な観光振興、多様な人材の活用などに関して、九経連から問題提起があった。
これに対して経団連から、
- (1)観光産業における人手不足やオーバーツーリズムといった問題が顕在化するなか、持続可能な観光立国の実現に向けて、人材育成、デジタル化などの省力化投資、迷惑行為などに関するルール整備、地域分散・地方誘客の促進が重要(野田由美子副会長)
- (2)イノベーションを起こすカギの一つは「人材の多様性」であり、多様な人材が活躍できる環境の整備が重要だ。優秀な国際人材が日本で働くことを選び活躍できる環境の整備に向け、経団連は25年12月に、30年ごろを見据えた「転換期における外国人政策のあり方」を提言した(永野毅副会長)
- (3)「賃金引き上げ」と「総合的な処遇改善」を「人への投資」と明確に位置付けた「賃金・処遇決定の大原則」にのっとった積極的な検討を行い、着実に実行することで、「賃金引き上げの力強いモメンタムの『さらなる定着』」を実現することが重要(長澤仁志副会長)
- (4)27年3月から、横浜市で2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)が開催される。「幸せを創る明日の風景」をテーマとした国家的イベントであり、観光立国や地方創生の推進にもつなげるべく、各地で盛り上げたい(泉澤清次副会長)
――との発言があった。
最後に小路明善副会長は、懇談会で紹介があった、広域連携によるものづくり産業の振興や、持続可能な観光立国に向けた取り組み、多様な人材の活躍促進などは、他の地域でも模範とすべき好事例であり、九州は日本経済の未来を切り拓くフロントランナーだとあらためて実感する機会となったと総括した。
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安川電機みらい館を視察
翌13日、一行は安川電機のロボット工場と、「安川電機みらい館」(いずれも福岡県北九州市)を視察。同社のイノベーションに向けた取り組みについて理解を深めた。
【総務本部】
