松本大臣(右)と澤田副会長
赤澤大臣(右)
経団連(筒井義信会長)の澤田純副会長・科学技術立国戦略特別委員長は6月10日、松本洋平文部科学大臣および赤澤亮正経済産業大臣を訪問し、5月19日に公表した提言「科学技術立国戦略」(5月21日号既報)を手交した。
澤田副会長はわが国が人口減少・少子高齢化、資源制約、安全保障環境の変化等に直面するなか、科学技術を国家戦略の中核に据え、研究開発投資の拡大、人材育成、大学改革、研究成果の社会実装、スタートアップ振興、デュアルユースを含む産業競争力の強化等を一体的に進める必要性を強調した。
そのうえで官民の連携を一層強化し、科学技術政策を産業政策とも連動させながら、提言の実現に向けて取り組んでいく考えを示した。
これに対して松本大臣は、提言内容は文科省の方向性と軌を一にするものであり、経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)に向けても経済界から大きな後押しを得たとして謝意を表明した。
教育を通じた人材力と科学技術・研究力によって「新技術立国」の礎を築くとの考えを示し、教育改革、基盤的経費・競争的研究費の拡充、日本発の研究成果の産業化などを進めていくと述べた。
第7期科学技術・イノベーション基本計画(2026~30年度)については、政府による研究開発投資60兆円、官民合わせて180兆円という高い目標を掲げていることに触れ、目標達成に向けて経済界と連携していく意向を示した。
大学が企業人の学び直しや研究活動の機会提供のプラットフォームとなるよう取り組むことや、大学研究者の産業界での活躍など産学の間で人材流動を促す必要性も指摘。学生・研究者の海外留学や国際交流に対する経済界の協力にも期待を示した。
赤澤大臣は、提言が示す方向性に賛意を示しつつ、AIの進展に伴うリスクや安全保障上の課題にも官民で向き合う必要があると指摘した。
そのうえで、あらゆる産業分野でAIトランスフォーメーション(AX)が成長戦略の基盤となるとの認識を示し、ヘルスケア、防災、製造、ロボット等の分野で、わが国が誇る質の高いデータや現場実装力を生かすことが重要だと述べた。
民生技術と防衛技術の好循環を生み出すデュアルユース技術開発環境の整備、防衛産業の生産基盤の維持・強化、AI・量子・宇宙分野におけるスタートアップ支援の強化にも言及した。
政府研究開発投資の拡大、戦略技術領域における税制措置、大学への企業投資の促進、SBIR(Small/Startup Business Innovation Research)制度の強化などに取り組み、産業政策を官民一体で推進していく考えを示した。
経団連は、文科省、経産省をはじめとする関係府省庁と緊密に連携し、科学技術立国の実現に向けた具体的な取り組みを進めていく。
【産業技術本部】
