1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2026年11月5日 No.3750
  5. 生物多様性・自然資本を巡る政策

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年11月5日 No.3750 生物多様性・自然資本を巡る政策 -環境省から聴く/CBD・COP17を視野に/経団連自然保護協議会企画部会

経団連自然保護協議会(西澤敬二会長)は9月30日、東京・大手町の経団連会館で企画部会(饗場崇夫部会長)を開催した。

環境省自然環境局自然環境計画課のもとに新設された生物多様性ビジネス推進室の永田綾室長から、10月19~30日にアルメニア・エレバンで開催される生物多様性条約第17回締約国会議(CBD・COP17)を見据えた、生物多様性・自然資本政策の最新動向について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 主要議題

1.グローバルレビュー

COP17では、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の世界的な進捗状況を評価するグローバルレビュー(中間評価)が主要な議題だ。

環境省はCOP17に向けて、2026年2月に「生物多様性国家戦略2023-2030」の中間評価を取りまとめるとともに「生物多様性条約第7回国別報告書」をCBD事務局に提出した。日本を含む各国から提出された国別報告書は、COP17で議論されるグローバルレポートの情報源となる。

2.DSI

COP16では、生物の遺伝資源のデジタル配列情報(DSI)の利用によって得られた利益を、衡平に分配するための新たな仕組み「カリ基金」の設置が決定された。

カリ基金への拠出率や拠出主体の規模の閾値、資金配分の計算式、製品・サービスを考慮した追加的な運用方式など、多くの論点がCOP17で議論される。

3.生物多様性の主流化

全体を通じて「生物多様性の主流化を進めるべき」という方向性自体に大きな異論はなく、今後は具体的な実装方法が重要となる。企業・金融セクターの関与を強化し、新たな報告義務や制度を増やすのではなく、既存の枠組みを活用しながら実践事例や成功事例を共有していくことが求められる。

■ G7ANPE

23年4月のG7環境・気候変動・エネルギー関係大臣会合において、ネイチャーポジティブ(NP)経済に関する知識の共有や情報ネットワーク構築の場として、議長国日本の主導で設立されたG7ネイチャーポジティブ経済アライアンス(G7ANPE)の会合を、COP17のサイドイベントとして開催する。

主催者は、環境省、経団連自然保護協議会、G7ANPEであり、G7議長を務めるフランス政府が共催者となる。

G7企業の先進的な取り組みを発信することで、NP経済に関する知見の共有とネットワーク形成を促進する。

環境省、経団連自然保護協議会、国際自然保護連合(IUCN)が連携して進める「OECMを通じた生物多様性保全への民間セクターの参画促進プロジェクト」では、民間セクターなどが主導するOECM(保護地域以外で生物多様性保全に資する地域)の優良事例やアンケート分析結果をガイドブックにまとめ、COP17で発信する予定だ。

■ 日本から世界に発信

企業を取り巻く動きとしては、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)による自然関連開示の検討が進むほか、ネイチャーポジティブ・イニシアティブ(NPI)による自然の状態(SoN)指標(注)や、SoN指標を反映したTNFDのLEAPアプローチ(自然関連のリスクと機会について評価するためのプロセス)第2版の公表が予定されている。

環境省は26年に、企業がNPに資する調達を実践する際の基本事項を整理したガイドラインや、投融資に自然資本の視点を組み込む「ネイチャーファイナンス実践ガイドライン」など、企業の具体的な行動を後押しするガイドラインを策定した。今後も積極的に普及を図っていく。

■ コンソーシアム設立へ

GBFの達成に向け、多様な主体間の連携強化が欠かせないとの認識のもと、関係省庁が連携してNPコンソーシアムを設立する方針だ。27年1月の設立を目指し、26年秋にも構成員の募集を開始したい。コンソーシアム構想はCOP17で公表する。

(注)生物多様性や生態系など、自然がどのような状態にあるかを把握・評価するための指標

【教育・自然保護本部】

「2026年11月5日 No.3750」一覧はこちら