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21世紀に向け新しい規制緩和推進体制の整備を望む
〔別 紙〕

分野別の規制緩和の課題

2.電気通信分野


  1. より一層の競争促進に向けた料金・約款規制、役務規制、業務委託規制、事業区分等の見直し、KDD法廃止を含む、電気通信関連事業法制の抜本改正
    1. 85年の通信自由化以降、通信市場は独占から競争の時代へ移行し、97年4月1日現在、第一種電気通信事業者は138社、第二種電気通信事業者は4588社が参入している。それに伴い、例えば、95年度現在、県間通信市場におけるNTTのシェアは68%に低下し、特に100km以上の長距離通信市場におけるNTTのシェアは52%に下がった。国際自動通信市場におけるKDDのシェアも65%に低下した。この間、国内最遠距離料金、日米間の国際通信料金は約4分の1に下がっている。

    2. また、参入規制や外資規制等が緩和されるとともに、地域通信市場への競争導入の重要手段の一つである相互接続に関するルールも策定される等、自由かつ公正な競争のための環境整備は進みつつある。

    3. しかしながら、わが国産業の競争力の強化や国民生活の質的向上のためには、あらゆる分野において、市場原理に基づく競争をより一層促進する必要がある。料金のさらなる低廉化とサービス多様化へのニーズが強まっているが、電気通信事業法等による規制は、通信事業者の機動的対応を制約する大きな要因となっている。新規参入者のシェアは未だ低く、通信料金も欧米先進国と比べると全体としては割高である。また、今後本格化する国際的な競争にわが国通信事業者が対応するためには、競争を通じて経営体質の強化を図るとともに自己責任原則に基づく自由な経営が認められなければならない。

    4. そこで、公正有効競争条件とその遵守状況の監視体制を整備するとともに、行政の透明性、公正性を確保する一方、現行の電気通信事業関連法制を抜本的に見直すことによって、自由・透明・公正な通信市場を構築し、通信事業者が、加速する技術革新の成果を活用するとともにユーザーニーズに迅速に対応できるようにする必要がある。

    5. かかる観点から、早急に以下の規制の緩和・撤廃を行うべきである。

      1. 料金・約款規制の見直し
        料金低廉化および事業者による柔軟な価格設定・新サービスの創出等を図るため、原則として、料金・約款の認可制度を廃止し、届出制に移行するとともに、総括原価方式を撤廃すべきである。国民経済・国民生活に係りの深いサービスでかつ競争が不十分なサービスにおいては、コスト削減のインセンティブが通信事業者に働くようプライスキャップ制を導入すべきである。

      2. 役務規制の見直し
        現在、役務が7種類に区分され、また役務種類の変更が許可制となっているため、新しいサービス導入等、ユーザーニーズへの機動的な対応の妨げとなっている。役務に関しては届出制に緩和するとともに、現行の役務種類の区分を廃止すべきである。

      3. 業務委託規制の見直し
        事業者が、コスト引下げ・業務効率化を目的とした提携やアウトソーシングを円滑に行えるよう、現行の業務委託認可制を見直すべきである。

      4. 第一種、第二種の事業者区分の見直し
        自由な事業展開を阻害している現行の第一種、第二種の事業者区分を見直し、回線設備の保有については事業者の経営判断に委ねることとすべきである。

      5. KDD法の廃止
        国内・国際の市場区分の撤廃、コールバックの活発化、国際公専公接続やインターネット電話の解禁等を背景に、今後、国際通信市場において競争が一層進展すると予想される。したがって、KDDは特殊法人ではなく、民間会社として位置づけることが適当であり、KDD法は早期に廃止すべきである。

  2. 通信、放送の中間領域的サービスに対応するルールのあり方など、通信と放送の融合に対応した制度見直し
  3. 情報通信技術の発展、デジタル化の進展やインターネットの普及等に伴って、通信と放送の伝送路の共用化が進展するとともに、通信・放送という二分法では振り分けることが困難な中間領域的なサービスが出現しつつある。これらの通信と放送の融合に対応するルールのあり方について早急に検討を行うとともに、将来的には、現在の電気通信事業法、放送法、有線テレビジョン放送法などのあり方について抜本的な見直しに着手する必要がある。

  4. 電気通信端末機器、特定無線設備に関する技術基準の見直しおよび技術基準適合認定・証明の簡素化
  5. 電気通信端末機器ならびに特定無線設備については、郵政省の定める技術基準に適合するものでなければならず、郵政大臣の指定する機関の認定・証明を受けることを要する。しかし、現状では、外国と比べて、審査期間がはるかに長く、審査手数料も高いため、民間の負担は非常に重く、また、市場への機動的な対応が困難となっている。技術革新の進展に応じて、電気通信端末機器ならびに特定無線設備に関する技術基準を見直すとともに、技術基準適合認定・証明の審査について、審査項目の削減や期間の短縮、手数料の引き下げ等を図るべきである。特に、特定無線設備については、試験審査と書類審査との二重審査が通例であるが、電気通信端末機器と同様、書類審査に一本化すべきである。


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