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21世紀に向け新しい規制緩和推進体制の整備を望む
〔別 紙〕

分野別の規制緩和の課題

3.流通分野


  1. 大店法の段階的廃止と新たな中小商業振興策の確立
    1. 90年以降の大店法の規制緩和は、限定的なものであったが、消費者の支持を得たことにより、大きな経済効果を挙げた。経済企画庁の試算によれば、90年から95年の間の大店法の規制緩和による需要拡大効果は年平均4兆5,300億円に達している。大店法の規制緩和が更に進めば、流通システムの合理化・効率化が進展し、我が国経済全体の生産性が向上するとともに、価格低下を通じて、実質所得の増加が期待される。
      大店法の規制緩和は、対外経済関係の改善の上からも必要となっている。輸入消費財の重要な販路が大規模小売店であることから、大店法は非関税障壁となっていると海外から批判が多く、現にWTOのパネルで大店法の存続の是非が争われているところである。また、近年、海外の流通業の対日進出意欲が高まっており、大店法は対内投資の阻害要因としても批判されている。
      したがって、大店法については、段階的に廃止すべきであり、また、大店法を根拠に地方公共団体が行なっている上乗せ・横出し規制や行政指導等も撤廃すべきである。

    2. 大店法の段階的廃止に伴い、中小小売業対策を一層拡充することが必要となる。
      中小小売業は、消費者ニーズの変化やモータリゼーションへの対応の遅れ、後継者不足等から深刻な状況に陥っている。ことに、大店法の規制等により、大規模店の郊外出店が進んでいることは、中心市街地における商店街の空洞化に拍車をかけている。
      中小小売業対策には、政府・与党も一貫して取り組んできたところであるが、大規模店との共存共栄のための施策の充実など、更に拡充する必要がある。また、従来の中小小売業対策は、護送船団方式とでも言うべき手法を中心としてきたが、これが必ずしも効果的でなかったことを踏まえ、意欲と能力のある個店の事業革新に重点を置いた選択的な支援策に軸足を移す必要がある。更に、新しい時代に対応した中小小売業の担い手を育成する観点から、製造業におけるベンチャー支援と同様に、人材の育成・確保、起業資金融資などを充実すべきである。支援にあたっては、その実効性を確保するために、具体的な費用・効果等について、予め綿密なシミュレーションを行なうとともに、事後にも、その効果を客観的に評価し、公表すべきである。
      中心市街地における商業振興策については、97年8月21日、産構審流通部会・中政審流通小委員会合同会議が「中心市街地における商業の振興について」を取りまとめたところであり、この趣旨を踏まえ、着実に施策を講じていく必要がある。その一環として、大規模店の戦略的な活用も必要となる。中心市街地における商業集積の魅力を増すには、中小小売業では提供できない幅広い品揃えやサービスを提供できる大規模店を集客の「核」とすることが有効な場合が少なくない。そこで、中心市街地に出店している既存大規模店の廃業や転出に歯止めをかけ、さらに新たに強力な集客力を持つ大規模店を誘致するため、中心市街地における店舗設置に関わる規制を先行的・誘導的に撤廃・緩和すべきである。

  2. 流通分野における需給調整の観点から行なわれる参入規制および資格制度に伴う事実上の参入規制の撤廃・緩和
    1. 需給調整の観点から行なわれている参入・設備規制等については、特別の場合を除き廃止する方針が閣議決定されている。流通分野においても、需給調整の観点からの参入規制等を撤廃していく必要がある。

    2. まず、酒類やたばこの販売に係る参入規制については、事業の内容・性格等を勘案しても合理的根拠を欠き、速やかに廃止すべきである。特に、酒類については、既に中央酒類審議会が、97年6月、距離制限による需給調整を廃止する方向で見直すべきであるとの答申をとりまとめているが、距離基準のみならず人口基準による需給調整も廃止すべきである。
      なお、未成年者の飲酒・喫煙の防止は、上記規制緩和とは全く別の問題であり、対面販売の促進とその際の年齢確認を含め、必要な措置を徹底すべきである。

    3. また、日本では、先進諸国と比較して一般大衆薬の販売について薬剤師が関与する範囲が著しく広く、事実上の参入規制となっている。
      消費者の利便を向上する観点からは、一般小売業においても「一般大衆薬」の販売を可能とすることが必要である。したがって、医薬品の配置販売業や特例販売業において薬剤師の関与の必要性が認められていない医薬品の範囲や先進諸国の事例を参考に、薬剤師の関与が必要とされる医薬品の範囲の見直しを進め、薬剤師のいない一般小売業で取扱える「一般大衆薬」の範囲を大幅に拡大すべきである。


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