[ 目次 | 概要 | 本文 | 別紙 ]

21世紀に向け新しい規制緩和推進体制の整備を望む

(概要)

1997年9月18日
(社)経済団体連合会


  1. 提言取りまとめの趣旨
  2. 政府は、行政改革委員会(飯田庸太郎委員長)の監視の下、規制緩和推進計画に沿って、規制緩和を進めており、経済的効果も着実にあがっている。しかし、行政改革委員会の任期は97年12月に終了し、規制緩和推進計画も98年3月末には終期を迎える。98年4月以降の規制緩和の進め方について、政府は97年末までに結論を得ることにしている。行政改革委員会の成果を継承し、業法や基本法の改革を含め、さらに抜本的な規制緩和を推進していくには、強力な規制緩和の推進体制を早急に整備することが必要である。そこで、経団連として、整備すべき新しい規制緩和推進体制とその下で解決すべき課題につき、提言を取りまとめることとした。

  3. 提言の概要
    1. 新しい規制緩和推進体制の整備
      1. 1998年4月から2000年12月までを対象期間とする新しい規制緩和の実行計画を策定。策定に当っては、各種業法や基本法の改革も対象とする。
      2. 規制緩和の企画立案・監視にあたる第三者機関として、各界代表・有識者からなる「規制緩和推進会議」を法律により設置。同会議は、新しい内閣制度、省庁が実現する2001年以降は、内閣直属の恒常的な機関に改組

    2. 新体制の下で実現すべき重点課題(10分野26項目、別紙参照
      1. 容積率規制・日影規制の緩和など都市再開発を促す規制の合理化
      2. 国内航空分野における参入規制・価格規制の撤廃
      3. 介護サービスへの民間企業の全面的な参入とバウチャー制度の導入 等

    3. 規制緩和の実効をあげるための関連法制整備
      1. 行政立法(政省令、通達等)の制定手続の整備
        政省令については、国会が審査権を保留。通達等については制定手続に関する通則法(原案の公表、専門家・利害関係者等から意見聴取等を義務づけ)を制定
      2. 地方の条例・規則に関する法制整備
        広く国民の利害に関係ある事項や規制の影響が広く各地にわたる事項は、条例制定権の範囲から除外することを地方自治法に明記。また住民の権利・義務に影響を与える規則については、通達等と同様の制定手続規定を整備
      3. 行政不服審査制度の改革
        現在、行政機関や専門の審査機関が行っている審査業務をできるだけ統合し、「行政審判庁」を設置。併せて、行政不服審査の範囲を拡大等

以 上


〔別 紙〕

新しい規制緩和推進体制の下で実現すべき重点課題


  1. 土地・住宅分野
    1. 工業(場)等制限法の緩和、不動産特定共同事業法の緩和など低未利用地の活用や土地の有効利用を促進する規制緩和
    2. 容積率規制、日影規制の緩和など都市再開発を促す規制の合理化
    3. 過大な開発負担を求める開発指導要綱の是正
    4. 新技術の導入を円滑にする建築基準法体系の国際的整合化
    5. 土地取引届出制度の事後報告制度への移行

  2. 電気通信分野
    1. より一層の競争促進に向けた料金・約款規制、役務規制、業務委託規制、事業区分等の見直し、KDD法廃止を含む、電気通信関連事業法制の抜本改正
    2. 通信、放送の中間領域的サービスに対応するルールのあり方など、通信と放送の融合に対応した制度見直し
    3. 電気通信端末機器、特定無線設備に関する技術基準の見直しおよび技術基準適合認定・証明の簡素化

  3. 流通分野
    1. 大店法の段階的廃止と新たな中小商業振興策の確立
    2. 流通分野における需給調整の観点から行われる参入規制および資格制度に伴う事実上の参入規制の緩和

  4. 農業分野
    1. 農業生産法人に係る諸要件の見直しなど農地取得に係る規制緩和
    2. 市場メカニズムの一層の活用に向けた新食糧法の見直し
    3. 農産物価格支持制度(小麦、てん菜・さとうきび、豚肉、加工原料乳)等の見直し等

  5. 運輸分野
    1. 車検制度の見直しをはじめとした道路輸送の効率化に資する規制緩和の推進
    2. 港湾運送事業に係る規制の見直し
    3. 内航海運業における船腹調整事業および運賃協定の見直し
    4. 国内航空分野における参入規制および価格規制の撤廃

  6. エネルギー分野
    1. エネルギーコストの一層の低減につながる規制の見直し

  7. 環境・廃棄物分野
    1. リサイクル推進のための規制緩和
    2. 一般廃棄物と産業廃棄物との区分の見直し

  8. 保安・安全分野
    1. 性能基準への移行、国際的整合性の確保
    2. 保安4法(高圧ガス取締法、消防法、労働安全衛生法、石油コンビナート等災害防止法)の整合性の確保

  9. 社会保障制度分野
    1. 医療における市場原理に基づく価格制度の導入と本格的な民間企業の参入
    2. 介護サービスへの民間企業の全面的な参入とバウチャー制度の導入
    3. 企業年金制度の自由な制度設計・運用と税制の制度間格差の是正

  10. 経済法規分野
    1. 定期借家権の創設など借地借家法の抜本的見直し

以 上


日本語のホームページへ