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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年7月18日 No.3139 「日本再興戦略に基づく税制措置に関する提言」を公表 -使い勝手のよい投資減税の創設を/事業再編円滑化や起業促進に資する税制措置提起

経団連(米倉弘昌会長)は10日、「日本再興戦略に基づく税制措置に関する提言」を公表した。6月14日に政府が閣議決定した「日本再興戦略(成長戦略)」では、「生産設備や事業の新陳代謝を促す枠組みを構築し、思い切った投資減税で法人負担を軽減すること等によって積極姿勢に転じた企業を大胆に支援していく」と明記されている。今回の提言は、こうした措置が投資の促進という成長戦略の政策目的に照らし、真に効果的なものとなるよう求めるものである。概要は次のとおり。

■ 投資減税の制度の方向性

投資減税については、次の内容を満たすものとすべきである。

  1. (1)特定の法律に基づく認定や対前年度で投資額が増加する等の要件を付すことなく、使い勝手のよい簡素で普遍的な仕組みとする。新製品・高付加価値製品の製造、生産能力の増強、生産の効率化、省エネ、耐震化(津波対策を含む)、更新等にかかわる投資は幅広く政府が日本再興戦略に掲げる「新陳代謝」の定義を満たすものととらえる。
  2. (2)特別償却(即時償却を含む)に加え、税額控除も選択適用可能な制度とする。
  3. (3)対象資産は、機械・装置のみならず、構築物・無形固定資産(ソフトウェア)・建物等も含める。
  4. (4)非製造業も制度の適用を受けられるようにする。
  5. (5)欠損金額のうち、既存設備の除却損からなる部分の金額については、大法人にも繰戻還付を認める。
  6. (6)これらの措置は、最低でも5年間の措置とする。また、平成25年度から適用可能とする。
  7. (7)投資促進が国家戦略である以上、法人税の減免措置を受けた資産については、償却資産にかかわる固定資産税を免除にするなど、地方税についても整合性を図る。リース取引対象資産についても固定資産税を減免する。

■ 事業再編の円滑化や起業の促進に資する税制措置

  1. (1)競争力の強化を目的とした複数の企業による事業の分離・統合、新分野への展開を後押しする観点から、一定の要件を付したうえで、分離先企業における立ち上げ期の損失を出資比率に基づき分離元企業において認識し、損益通算できる措置を講じるべきである。
  2. (2)円滑な事業再編のため、一定の要件を満たす場合には時価評価課税の適用除外とするなど、連結納税の改善を検討すべきである。
  3. (3)法人のベンチャー投資を促進するとともに、リスクマネーに対する個人投資の積極活用を図るべくエンジェル税制の拡充を検討すべきである。

◇◇◇

このほかにも、(1)法人実効税率のさらなる引き下げに向けた道筋の明確化(2)研究開発税制の拡充(3)パテント・ボックスの導入(4)自動車関係諸税の簡素化・負担軽減(5)国家戦略特区の具体化(6)タックス・ヘイブン対策税制の見直し(特に英国、タイ等の税率引き下げを踏まえたトリガー税率の早期見直し)(7)租税条約の締結・改定の推進――等、わが国の成長に向けて、取り組むべき課題は山積している。

そこで、経団連としては、別途9月を目途に、成長基盤の確立に向けた社会保障と税の一体改革の着実な推進とあわせ、これらの項目を含む包括的な平成26年度税制改正に関する提言を取りまとめることとしている。

あわせて、政府・与党においても、成長戦略を早期・着実に実行するとともに、必要に応じ、果敢に第二、第三の戦略を打ち出すよう求めていく。

【経済基盤本部】

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