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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年11月7日 No.3153 日米インターネット・エコノミー民間作業部会2013会合で民間共同声明を採択

武山部会長(左)とベイツACCJ会頭

来賓としてあいさつする総務省の坂本
局長(右)とウェブスター米国公使

経団連と在日米国商工会議所(ACCJ)は10月22日、東京・大手町の経団連会館で日米インターネット・エコノミー民間作業部会を開催し、日米産業界の共同声明を採択した。

日米情報通信政策当局は2010年から、「インターネット・エコノミーに関する政策協力対話」を定期的に開催し、(1)クラウドコンピューティング技術の普及(2)商用ネットワークのセキュリティーの高度化(3)ネットワークの中立性および通信の自由――等の課題について意見交換を行っている。同声明は、これに向けて日米産業界の意見を集約したもの。

会合の冒頭、日本産業界を代表して経団連の武山芳夫情報通信委員会企画部会長は、米国政府機関の一時閉鎖の影響を受け、政府間会合が直前で延期となったものの、日米産業界の共同声明としての取りまとめを決めた経緯を説明したうえで、「世界経済のさらなる発展に向け、日米両国の政府と産業界が連携を深めつつ、インターネット・エコノミーの発展に向けて国際的に調和のとれた制度的枠組みを構築し、実効的な課題解決につなげていくことが重要である」と述べた。

続いて、米国産業界の代表として、ACCJのローレンス・ベイツ会頭は、「この成長分野で日米が協力し、特に経団連とACCJが協力できたことをうれしく思っている。日米がお互いに協力することで、新たな発展を成し遂げることができる。アジアのリーダーとして日本が力を発揮してくれることを期待している」と述べた。

共同声明の内容を説明

次に、共同声明の取りまとめにあたった経団連インターネット・エコノミー民間作業部会の梶浦敏範主査、横澤誠副主査、ACCJの杉原佳尭委員長、小林献一副委員長が共同声明の内容を説明し、日米両政府の具体的な政策への反映を要望した。概要は次のとおり。

共同声明の検討は、昨年10月公表の「日米クラウドコンピューティング民間作業部会報告書」で提案した重要項目を深掘りするかたちで議論を進めた。

第一は「オープンで透明なインターネットの堅持」である。日米両政府が国際的な議論の場などでリーダーシップを発揮し、インターネットの利用環境などが過度に規制されることがないように取り組んでいくことが重要である。

第二は「国際的に調和のとれたデータ越境移転ルール」である。インターネットは国境を越えて自由にデータが行き交うことが望ましい。プライバシー保護などに関して各国で対応が異なっているため、優れたサービスを多くの国で等しく利用できるように、日米両国が自国の制度を国際的に調和がとれたものに見直す検討が必要である。

第三は「日米政府CIOの協力による電子政府の推進」である。個別の国で尽力するのではなく、日米両政府CIOがベストプラクティスを共有し、つくり上げたものを、アジア太平洋地域を中心に各国に展開していくことが重要である。

第四は「安心して利用できるインターネット環境の確保」である。インターネットの世界では、新しいデバイスやソフトウエアなどが誕生し、これまで予期することができなかった脅威を生み出し得る。日米両政府は官民協力のもとに体制を整備し、発展させることが重要である。

第五は「世界規模でのクラウドビジネスの促進」である。全世界でインターネット・エコノミーの発展を成すために、官民が一体となって第三国に展開する体制が必要である。

◇◇◇

共同声明の採択後、来賓の総務省情報通信国際戦略局の阪本泰男局長は、「日米産業界が密接な関係のもと、共同声明を取りまとめたことに、大きな意義がある。これをいかに実践に結びつけていくのかが国に問われている。地球的課題を解決するツールとしてICTが活躍するという視点から、インターネット・エコノミーをグローバルに広げていくことが重要であり、官民連携の強化と国際連携の強化にフォーカスを当てて進めていこうと考えている。今秋の政府間会合は延期となったが、官民連携の重要性をさらに認識し、日米政策協力対話のさらなる発展に向け、米国政府と連携していく」と述べた。

続いて米国大使館経済・科学担当のジェシカ・ウェブスター公使は、「日米政策協力対話の枠組みは、両国にとって、非常に際立った協力事例だと考えている。日米産業界の共同声明が活かされるように米国政府としては努力したいと考えている」と発言した。

※共同声明の全文はホームページ(http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/090.html)に掲載。

【産業技術本部】

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