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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年2月20日 No.3166 ハーバード大学のスタバンス教授と懇談 -米国の気候変動政策の展望等で意見を交換

温室効果ガス削減に関する2020年以降の将来枠組みの合意に向け、国連気候変動交渉が展開するなか、主要排出国である米国がどのように国内外の温暖化対策に取り組むのか注視していくことが肝要である。

こうした折、ハーバード大学公共政策大学院で環境経済学プログラムを主宰し、国内外の気候変動政策にも積極的に関与しているロバート・スタバンス教授が来日した。この機会をとらえ、環境対策推進財団は5日、東京・大手町の経団連会館に同教授を招き、米国の気候変動政策の展望などに関する懇談会を開催した。スタバンス教授の説明の概要は次のとおり。

■ 米国における温暖化問題への取り組みの現状

米国が国連に提出している20年の温室効果ガス削減目標(05年比17%削減)については、米国内の景気後退や、シェールガス革命に伴い、天然ガス火力の発電量が増加し、石炭火力の発電量が減少していることなどから、達成する見通しである。

また、オバマ大統領が昨年6月に発表した「気候変動行動計画」では、大統領・行政の権限で実施可能な対策・施策として、再生可能エネルギーや省エネの推進とあわせて、火力発電所への排出規制が打ち出された。

とりわけ、既存の大気浄化法のもとで、環境保護庁が火力発電所に対して排出基準を課す政策は、同計画の目玉といえるが、規制を課される発電所側が訴訟を起こす可能性も高く、規制実施までには相当の時間がかかると思われる。

このように、オバマ大統領が議会の協力を得る必要がないかたちで気候変動行動計画を進めざるを得ない背景には、今年11月の中間選挙を控え、民主党が過半数を占める上院、共和党が過半数を占める下院とも、気候変動問題への対応をめぐって議論が二極化しているという事情が挙げられる。

■ 米国の気候変動政策に関する今後の展望

昨年のCOP19(国連気候変動枠組条約第19回締約国会議)の結果、20年以降の将来枠組みの合意に向け、準備ができた国は15年3月までに30年の目標・対策を国際的に表明することが求められ、今年9月には国連事務総長主催による気候変動に関する首脳会議が予定されている。

米議会で未成立の気候変動対策法案においては、30年の温室効果ガス削減目標として05年比42%が示されている。これは、排出量取引制度や炭素税といった炭素への価格づけをベースとしたものであるが、米国の政治経済情勢に鑑みれば、当面、このような政策が議会の承認を得られる可能性はない。米国が国際的に表明する30年の目標・対策については、今後慎重に検討していくことになろう。

【環境本部】

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