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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年2月20日 No.3166 ILO条約の企業への適用などで説明聞く -ILO条約勧告適用専門家委員会委員の横田・人権教育啓発推進センター理事長から/雇用委員会国際労働部会

経団連は3日、東京・大手町の経団連会館で雇用委員会国際労働部会(谷川和生部会長)を開催した。ILO(国際労働機関)条約勧告適用専門家委員会委員の横田洋三・人権教育啓発推進センター理事長から、ILO条約の企業への適用などについて説明を聞き、意見交換を行った。
講演の概要は次のとおり。

■ 国際法と労使関係

国際的な労使関係を規定する枠組みとして、ILO条約や国連のグローバルコンパクト、さらにはISO26000などの枠組みがある。企業活動のグローバル化に伴い、日本企業もこのような動きに配慮していくことが重要である。コンプライアンスを重視する企業で働くこと自体が、従業員のモチベーションの向上につながり、生産性が高まるとの見方もある。

■ ILOの意義

これらの国際的な労使関係を規律するその根幹にILOの存在がある。ILOが国際的な労働基準を設定し、各国がこれを遵守することで良好な労使関係が構築されるとともに、労働ダンピングなどを防止し、公平な競争が可能となる。

ILOには、批准国に法的拘束力をもたらす「条約」や法的拘束力は持たないものの、ガイダンスの意味合いを持つ「勧告」といったかたちの国際的労働基準を設定する役割がある。加えて、批准国における条約の履行状況を確認する監視活動という役割もある。条約が履行されていない場合は、最終的にはILO総会での議決を経て、当該国に改善を求めることとしている。ILO総会の議決に至る前段では、労働法や国際法などの専門家により構成される「条約勧告適用専門家委員会」(専門家委員会)で法的吟味を行い、その意見を踏まえ、ILO総会の下の政労使の三者構成の委員会(総会委員会)で問題となる事例について議論される。

■ ILO条約の国内的適用の意味

ILO、とりわけ専門家委員会の立場としては、国際法であるILO条約優位を前提に、批准国の国内法および国内慣行における条約の適用状況について判断をすることとしている(新二元論の立場を取っている)。ILO条約と国内法・慣行のギャップに関して、最近では「結社の自由」(第87号、第98号)や「強制労働に関する条約」(第29号)の適用をめぐり、その解釈に労使間の意見の違いもありILO内でも大きな議論が生じている。

これまでは、日本企業が海外で事業活動を行う際は、当該進出国の法律を遵守することで問題はないと思われがちであった。しかし、今後は人権擁護やCSR、さらにリスクマネジメントの観点から、当該進出国の批准の有無や条約の適用状況にかかわらず、ILOの基本条約の規定する内容について積極的な対応が必要となると考える。

【国際協力本部】

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