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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年4月3日 No.3172 「生物多様性の今~国内外の動向を展望する」 -経団連自然保護協議会が活動報告会を開催

経団連自然保護協議会(佐藤正敏会長、以下協議会)は3月18日、東京・大手町の経団連会館で「生物多様性の今~国内外の動向を展望する」と題する活動報告会を開催した。

協議会は1992年に設立され、自然と共生できる経済社会の実現に向けて、生物多様性の保全を重視した自然保護活動を推進してきた。今回、生物多様性にかかわるさまざまなトピックの動向や協議会の活動等を紹介する機会を設け、経団連の会員企業から約120名が出席した。

報告会では環境省自然環境局長の星野一昭氏による講演ならびに国際自然保護連合(IUCN)の古田尚也氏、協議会企画部長の石原博氏、同顧問の立花慶治氏らによる座談会形式の話題提供と懇談が行われた。

■ 生物多様性をめぐる国内外の動向(星野一昭氏講演)

活動報告会には経団連会員企業から約120名が出席した

「国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)の活動と生物多様性をめぐる最近の話題」と題する講演では、環境省が推進している国内外の取り組み、ならびに米倉弘昌経団連会長が委員長を務める同日本委員会の活動内容に協議会が深くかかわってきたことが紹介された。

国際分野における取り組みでは、2010年に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で決議された愛知目標の達成に向け策定された「生物多様性国家戦略2012-2020」に基づき、今年10月に開催される同条約第12回締約国会議(COP12、韓国)に向けて、第5回国別報告書ならびに国家戦略の進捗状況を策定、点検中であると説明した。

国内では、同省が実施した生物多様性分野における事業者による取り組みの実態調査によって、回答者の約7割の企業において何らかのかたちで事業と生物多様性の関係を把握することに努めていることがわかり、企業の関心の高さを裏づけたと指摘した。

協議会関連では、20年余り継続してきた公益信託経団連自然保護基金を通じた自然保護活動が、同委員会が推奨する連携事業として認定を受けた。また同委員会が主催する国内のイベントや国際会議等の場でも、協議会は、協賛、共催などを通じて積極的に協力するとともに、産業界の活動を情報発信してきており、引き続き同省と連携していく。

また東北の復興支援にも触れ、昨年5月に創設された三陸復興国立公園を核とした「グリーン復興プロジェクト」が紹介された。この一環として、協議会では、同省が建設を進める「中の浜メモリアルパーク」(岩手県宮古市)で復興の森の整備を行う予定である。

■ 話題提供

座談会形式の話題提供では経団連の
生物多様性への取り組みなどが報告された

冒頭古田氏から、協議会とIUCNが緊密に連携して活動してきた歴史の紹介があった。IUCNとは1996年の加盟以来、条約締約国会議等の諸会議で連携してきており、世界中を見渡してもこのように企業と自然保護団体が協働して生物多様性の保全に取り組んできたことは例がなく、先駆的なモデルといえると指摘した。

石原氏からは、協議会の活動の三本柱である、基金を通じた活動、企業とNGOとの交流の促進、そして企業への啓発活動が紹介され、現在は自然再生を通じた東北復興支援が四つ目の柱になっている旨、披露された。

立花氏は、生物多様性条約交渉と気候変動枠組み条約交渉との違いや共通点について、実例を交えわかりやすく解説をした。

三氏による鼎談では、自然資本へのかかわり方、COP12での主要テーマ、生物多様性の主流化に向けた取り組みのあり方などについて意見交換が行われた。

◇◇◇

経団連自然保護協議会は生物多様性にかかわる主要な国際会議に参画し、引き続き企業とNGOとの一層の交流と企業への啓発活動を通じて、生物多様性保全を重視した自然保護活動を推進するとともに、持続的な取り組みにより東北復興を支援していく。詳しくは事務局(電話03-6741-0981)まで。

【経団連自然保護協議会】

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