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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年4月10日 No.3173 経団連・環境対策推進財団がシンポジウム「わが国のエネルギー・温暖化政策を考える」を共催 -エネルギーミックスや温暖化対策など望ましい政策のあり方について検討

経団連と環境対策推進財団は3月26日、東京・大手町の経団連会館で、シンポジウム「わが国のエネルギー・温暖化政策を考える」を共催した。シンポジウムでは、エネルギー基本計画の決定後、エネルギーミックスや2020年以降の温室効果ガス削減目標に関する議論が本格化する見込みであることを踏まえ、望ましい政策のあり方について検討を行った。

冒頭あいさつで、環境対策推進財団の椋田哲史理事長は、エネルギー政策に関しては「安全性の確保を大前提に、安全保障・経済性・環境適合性のいわゆる『S+3E』の適切なバランスを確保することが不可欠」と強調するとともに、安全性の確保を大前提に原子力発電所の再稼働のプロセスを加速することの重要性を指摘した。また温暖化対策に関しては、経団連は低炭素社会実行計画の推進を通じ、国内の事業活動での削減に加え、途上国支援等の国際貢献や革新的技術の開発にも注力すると表明した。

■ エネルギーミックス検討にあたって必要な視点

続いて、来賓3名から講演が行われた。まず、日本エネルギー経済研究所の豊田正和理事長は、エネルギーミックスの決定においては「S+3E」に加えて「M(マクロ経済)」が重要であると指摘し、2030年の原子力の割合を20~25%とした過去の総合資源エネルギー調査会の選択肢(12年6月24日「エネルギーミックスの選択肢の原案について」の選択肢3)に近いものが望ましいと述べた。

次に、慶應義塾大学の野村浩二准教授が、節電や省エネルギーの努力の重要性を認めつつも、エネルギーミックスを検討する際には、省エネ目標が達成されず、想定よりもエネルギー需要が大きくなっても安定供給が可能となるような供給構造を構築すべきと指摘した。

最後に講演を行った地球環境産業技術研究機構(RITE)の秋元圭吾システム研究グループリーダーは、「S+3E」の視点と定量的な分析を踏まえ、2030年の原子力と再生可能エネルギーの比率は共に20~25%程度、温室効果ガスの削減目標は05年比約15%減を目安として示した。

■ パネルディスカッション

続いて、常葉大学の山本隆三教授をコーディネーターとしてパネルディスカッションが行われた。まず政府の施策について、野村氏から、再生可能エネルギーの固定価格買取制度が、太陽光パネル市場の競争を阻害して価格の低下を阻んでいるとの指摘がなされた。

また、原子力発電に関しては、豊田氏が、アメリカではスリーマイル、ロシアではチェルノブイリの事故があったものの、今では国民の信頼を取り戻していることに言及し、日本も福島第一原子力発電所の事故を踏まえて、しっかりと安全面での対応を行うことで国民の支持を得ていくべきだと述べた。

温暖化対策に関しては、秋元氏から、日本では省エネ法やトップランナー基準とともに、経団連の自主行動計画が成果を上げてきたとの紹介があった。

【環境本部】

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