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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年4月17日 No.3174 提言「貿易の円滑化に向けた輸出入制度の一層の改善を求める」を公表

経団連は15日、提言「貿易の円滑化に向けた輸出入制度の一層の改善を求める」を公表するとともに、関係方面へ建議した。わが国企業の国際競争力を高めていくうえで、物流の円滑化と貿易にかかるセキュリティの確保を両立する必要があることから、輸出入制度の改善策を提起している。提言の概要は次のとおり。

1.省庁横断的な取り組みの必要性

政府は、物流機能がわが国経済や国民生活に果たす役割の重要性に鑑み、かねて諸改革に取り組んできたものの、空港・港湾の国際競争力の低下、国内物流に携わる人材の確保、輸出入制度の改革等、解決すべき課題も多い。とりわけ、経済連携の拡大等による企業のサプライチェーンの高度化や、テロ事件を端緒としたセキュリティへの関心の高まりもあり、貿易にかかるセキュリティ確保と物流の円滑化の双方を両立することが急務となっている。こうした課題の克服に向けては、政治のリーダーシップのもと、民間も参画するかたちで、関係省庁間の連携を促すための総合調整機能を果たす仕組みの構築が強く求められる。

2.貿易の円滑化に向けた改善策

  1. (1)AEO制度の一層の改善
    税関手続きの緩和・簡素化を一定の条件のもとで認めるAEO制度については、累次の制度改善がなされてきた。(1)他の貿易関連制度との連携強化(2)諸外国とのAEO制度の相互承認の加速(3)セキュリティ管理上の負担と実績に応じた段階的なメリットの提供――等を含め、事業者から提起される課題の解決に向け、関係省庁と民間事業者との意見交換の場を新たに設け、実務者レベルで制度の一層の充実を図っていくべきである。

  2. (2)新KS/RA制度の運用の見直し
    今年4月から、国際旅客便に搭載される貨物へのセキュリティ対策を強化する新KS/RA制度(注)が完全施行された。現状では、新制度の運用に必要な設備や人員の確保等の面で民間の努力と負担に多くを依存しており、また、物流のリードタイムの延長や遅延・滞留リスクの拡大も懸念される。
    円滑な物流とセキュリティ確保のための体制整備は国の責務であるとの基本認識のもと、検査体制の充実を急ぐと同時に、適切な航空保安体制の確立に向けた改革に早急に着手することが求められる。

  3. (3)NACCSの一層の充実
    通関の基幹情報システムであるNACCSは累次にわたり更改されてきたが、ITを前提として通関手続きの流れを抜本的に見直すまでには至っていない。政府CIOとも連携しつつ、利用者を構想段階から参加させることで手続きの流れを一から見直す必要がある。他方、原産地証明書等のシステム化をはじめとする電子化・ペーパーレス化の一層の推進等、次期システム更改を待たずにできる課題については、順次検討・導入が求められる。

◇◇◇

なお、新KS/RA制度の運用の見直しについては早急に改善を要するものであることから、経団連は同日、別途「わが国航空貨物のセキュリティ対策に関する意見」を取りまとめ、(1)問題解決に向けた官民協議の実施(2)KSを取得する荷主やRAに対する費用の支援(3)空港施設での検査機器導入の支援――等を要望した。

(注)新KS/RA制度=航空貨物の国際標準に基づき制定された保安対策制度。特定運送事業者(RA)により貨物に爆発物が紛れ込まない保安管理を認定された荷主(KS)の貨物は、空港施設等で爆発物検査が軽減あるいは免除される

※全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/030.html 参照

【産業政策本部】

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