1%(ワンパーセント)クラブ(佐藤正敏会長)は、災害ボランティア活動支援プロジェクト会議(支援P)、東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)との共催で、企業の被災地支援担当者による現地視察の第3弾を8月27日から29日に実施した。概要は次のとおり。
■ 多文化共生社会への取り組み
東日本大震災で災害救助法が適用された154市町村には7万5千人を超える外国人が暮らしており、沿岸部には農村・漁村に嫁いできた外国人女性も多数いた。宮城県のNPO「笑顔のお手伝い」が石巻市、気仙沼市と協働で外国人被災者の実態調査を行ったところ、被災による家族・財産や生活手段の喪失は、意識の壁、言葉の壁と相まって特に彼女らの生活をますます困難なものにしていることが浮き彫りになった。そこで、同団体では、被災地にとどまる彼女らが地域の担い手として社会参画できるよう、日本語やパソコンの教室を実施している。また、ホームヘルパー資格の取得を支援するとともに、仮設住宅に住む高齢者を対象にデイケアを開催することで職業訓練の場を提供し、交流と相互理解を図っている。
■ 若者、女性の目線での復興推進
宮城県の「南三陸町復興推進ネットワーク」では、若手町民が主体となって長期的視点でまちづくり、人づくりに取り組んでいる。活動の一環として、震災の影響による休耕田を有効活用した酒づくり、バイオ技術を活用した新規事業の創出なども行っている。また、同地域で活動する「ウィメンズアイ」では、女性グループの組織づくりやコミュニティビジネスの支援を行うとともに、過去の災害被災地の女性グループとの交流などを通じて、女性ならではの視点を復興に活かしていくことを目指している。
そのほか、南三陸町が再建するネイチャーセンターを民間の立場で支援する友の会、遊びを通じた子どもの心のケアを行う「にじいろクレヨン」、住民の話し合いの場づくりや市民活動支援を行う「陸前高田まちづくり協働センター」等を訪問するとともに、東日本大震災支援全国ネットワークの現地会議に参加した。現地会議では、(1)災害公営住宅・防災集団移転後のコミュニティ形成(2)見守り体制の構築(3)交流人口の増加――などの課題について、多様な組織が連携して課題解決を行うことの重要性について議論した。
- 第1弾:企業の資源を活用した中長期的な支援を探る
- 第2弾:新規事業と雇用創出への挑戦
- 第3弾:震災により顕著になった地域課題への対応