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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年10月9日 No.3195 ポーランド、セルビア、イタリアの政府・経済界首脳と意見を交換 -ヨーロッパ地域委員会が訪欧ミッション派遣

経団連は民主主義、法の支配、市場経済などの基本的な価値観をわが国と共有する欧州との関係の重要性に鑑み、ほぼ毎年、欧州各国にミッションを派遣している。今年は9月21日から28日にかけて、ヨーロッパ地域委員会の佐藤義雄共同委員長を団長とする総勢40名のミッションをポーランド、セルビア、イタリアに派遣した。

今回のミッションでは、EU原加盟国のイタリア、加盟10周年を迎えたポーランド、そして今年1月加盟交渉をスタートしたセルビアという、EUとのかかわりにおいて、それぞれ異なるステージにある3カ国への訪問を通じて、EUの拡大と統合深化の状況を把握するとともに、イタリア、ポーランドの政府ならびに民間経済界と日EU EPA(経済連携協定)の早期実現の重要性を共有することができた。

訪問各国における懇談の概要は次のとおり。

■ ポーランド

ビエホチンスキ・ポーランド副首相兼経済相(左)と
佐藤ヨーロッパ地域委員会共同委員長

EU内でリーマンショック以降もプラス成長を維持した唯一の国であり、2007年以降、首相として同国の政治的安定と経済成長を実現してきたトゥスク氏が次期EU理事会議長に内定するなど、EU内で同国の存在感が高まることが期待されている。ポーランド政府は日系企業の同国経済へのこれまでの貢献を非常に高く評価しており(進出日系企業293社、うち製造業82社、在ポーランド日本大使館調べ)、さらなる投資を歓迎している。

ウクライナ情勢等の地政学的リスクについては、国際社会の安定への脅威は重大としつつ、対ロシア制裁によるポーランド経済への影響は限定的とみており、第三国経由での対ロシア輸出、新市場の開拓などにより対応可能との受け止めである。

■ セルビア

ブチッチ・セルビア首相(右)と佐藤共同委員長

初の経団連ミッション派遣となる今回、ブチッチ首相はじめ政府要人、経済界からは、日本との経済関係構築に極めて強い期待が表明された。首相からは、企業誘致に際し、他のいかなる欧州、バルカン諸国よりも良い条件を提示するとのコミットがあった。外資誘致に向けた同国の強みは(1)バルカン半島最大の国土および人口(2)周辺国に比べ安価な労働力(3)ロシア、トルコとのFTA締結――などであり、効率性や労働慣行を日系企業に学びたいという意欲は大きい。

今年1月からEU加盟交渉を開始し、加盟は5~7年後となる見込みである。懸案のコソボとの関係は、EUの仲介で定期的に首相級対話を実施するなど、徐々に改善しているとの説明があった。

■ イタリア

モンティ・イタリア元首相(前列中央)と一行

2014年下期のEU議長国として、官民とも日EU EPA、TTIP(EU米FTA)など主要経済パートナーとの自由貿易協定の重要性を認識しており、日EU EPAの2015年中の早期実現への支持が表明された。交渉を後押しすべく経団連が中心となって進めている日欧業界同士の対話への評価も高い。ウクライナ情勢等の地政学的リスクに対処するためにも、日米欧が経済的な統合を促進すべきとの認識が示された。

二国間経済関係のさらなる強化に向けて、日系企業が重視している日伊社会保障協定の早期発効については、政府関係者から、批准プロセスは進行中で今後数カ月以内に法案が下院を通過する見込みとの説明があった。また、解雇法制の整備など、柔軟な労働市場の実現がレンツィ政権の最優先課題の一つであり、すでに取り組みが始まっているとの説明があった。

【国際経済本部】

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