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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年5月7日 No.3222 <解説>「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型」(第2回) -会社法施行規則の改正に伴うひな型の改訂―事業報告(下)、附属明細書

経団連は4月10日、「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型」(以下「ひな型」)を改訂し公表した。

本号では、前号に引き続き、ひな型の事業報告および附属明細書に関する主要な改訂点について紹介する。

■ 事業報告(下)、附属明細書

  1. (1)業務の適正を確保するための体制等の整備に関する事項
    改正会社法施行規則では、業務の適正を確保するための体制等の整備に関する事項に関し、子会社についての内部統制に関する規定が追加されている(会社法施行規則第98条第1項第5号等)。もっとも、これらの規定に基づく決議および開示の対象となる体制は、子会社における体制そのものではなく、親会社である事業報告作成会社自身における体制である。つまり、事業報告作成会社における企業集団全体の内部統制に関する方針を記載すればよい。

    また内部統制に関しては、当該体制の運用状況の概要についても記載することが求められることとなった(会社法施行規則第118条第2号)。

    これらを受けてひな型では、Ⅰ事業報告の第2の6において、記載項目の改訂や新設を行っている。なお運用状況の記載は、改正法の施行日である2015年5月1日を含む事業年度に係る事業報告については、施行日以後の運用状況に限って記載すれば足りる(改正省令附則第2条第7項)。

  2. (2)特定完全子会社に関する事項
    改正法により新設された多重代表訴訟制度(会社法第847条の3)では、親会社の株主が一定の要件を満たす完全子会社(特定完全子会社)の取締役等の責任を追及することができる。特定完全子会社に当たるか否かは、本来、当該子会社において責任の原因となった事実が生じた日における数値に基づき判断される。この判断の参考とするため、改正会社法施行規則では、事業報告において、各事業年度の末日の数値を基準として、事業報告作成会社がその特定完全子会社(各事業年度の末日の数値を基準として要件を満たす完全子会社)を有する場合は、特定完全子会社の名称・住所等を記載することとなっている(会社法施行規則第118条第4号)。

    これを踏まえて、ひな型(Ⅰ事業報告の第2の8)では、特定完全子会社に関する記載例を新設している。

  3. (3)親会社等との取引に関する事項
    改正会社法施行規則では、会計監査人設置会社である会社の事業報告および附属明細書において、その親会社等(親会社またはオーナーである個人)との取引(第三者との間の取引でその会社と親会社等との間の利益が相反するものを含む)のうち、当該事業年度にかかる個別注記表において関連当事者取引注記を要するものに関して、当該取引をするにあたりその会社の利益を害さないように留意した事項等について記載することを求めている(会社法施行規則第118条第5号、第128条第3項)。

    なお、改正法の施行日である15年5月1日を含む事業年度における事業報告および附属明細書については、施行日以降にされた親会社等との取引に限って、取締役の判断およびその理由等を開示すれば足りる。

    この点についてひな型(Ⅰ事業報告の第2の9、Ⅱ附属明細書(事業報告関係)の2)では具体的な記載例を設けていないが、該当するものがある場合には留意する必要がある。

【経済基盤本部】

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